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August 28, 2015


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

やはりこの男、ただ者ではない。今度は証券会社が特別に設けている「とされる」未公開株引受の「国会議員枠」なる特別枠の存在を世間に暴露してくれた。

おまけに議員宿舎に二万円で買った「少年」を連れ込んでは夜な夜な「奴隷プレイ」を楽しんでいたらしい。国益とやらのためには基本的人権をすら否定するカリカリの保守政治論者がゲイ?何て面白いやつなんだ!


この若手議員(と言っても、もう三〇過ぎの中年予備軍だが)が実際に「国会議員枠」とやらを割り当てられていたのか、それともただ単に金を集めるための口からでまかせだったのか、はこの際たいした問題じゃない。

そもそもこの男に金をだまし取られた奴らはただのバカだ。ありえないような投資話に退職金やら年金やらを全部注ぎ込んで、地道に細々と生きている人々を出し抜いて大儲けしてやろうと企んだ挙句に騙されたと気付いて「老後の生活資金がなくなってしまった」などと被害者ヅラして泣きを入れる「欲ボケ老人」と同じで、生きる価値があるとも思えない「愚かな」連中だ。


それよりも賢い有権者なら当然目を向けるべきなのは、リクルート問題に匹敵する一大スキャンダルの香りが漂うこの事態を前にして、与野党問わず誰もこの男を証人喚問と称して国会の場に引きずり出そうとしないのはなぜなのか?ってことだ。ついでになぜメディアの追求がそれほど厳しくないのか、ってことも。

この男一人をいじめて葬り去ることに大した意味はない。この男が提示してくれた大きな「ヒント」は本来どのように活かされるべきなのか、こそが考えられるべきなのだ。


ところでホモだからと言って人を差別するのはよくない。性癖も個人間の合意のもとで成り立っているのであれば当人たちの自由だろう。そのへんのあれやこれやは「プライバシー」の領域であって、それだけなら他人がとやかく言うことじゃない。

問題は、それらの行為がこの男が吹聴している政治理念と照らし合わせてどうなのか、ってことだ。自分を偽って善良な市民の票を集めるのは最もよくないことだ。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




August 22, 2015


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

例によってアジとクロダイ狙いで「メバルマン」と外房の「大原漁港」へ。


台風が南の海上にあるのは織り込み済みだ。気象予報では晴れ。風も五米/秒未満。かえって外海が荒れてる方が予期せぬ大物も港内に逃げ込んで来てそうで面白いじゃないか。

房総半島を渡りきって九十九里浜が見えて来た頃に、私たちの想像をはるかに超える高波が海岸に押し寄せているのもお構いなしに海水浴客がビーチに溢れている光景を見て「いったいあいつら何考えてんだ?」などと「メバルマン」と語らいつつ、アタック5に寄り道をしてから現地へ。目指すは外側の赤灯だ。


釣り人がいない。





赤灯の足元まで様子を見に行ったが、たまに外海側のテトラを超える大波がやって来るのでそこで釣るプランは即座に却下。身の危険がどうの、と言う前にそんなところで食い物を探して泳ぎ回ってる魚なんているわけがないだろう。

港内も海底から巻き上げられる砂で濁りがきつい。いったん市場前の様子を見に行ったが同じようなものだ。少しでも大物が潜んでそうな赤灯のある堤防側に戻って港内向きに釣り座をかまえることにする。


もっとも私には、獲物が釣れる釣れない以前に今日は新調した竿の具合をテストしたいという思惑がある。


陽光を浴びながら駐機場に待機する戦闘機よろしく水辺に佇むダイワのリーガル(磯竿)とリバティクラブ(ルアーロッド)。





リーガルは前回、下田港の犬走島堤防で折れてしまった磯竿の後任だ。結構な値段だが、ふかせ釣りがメインのスタイルとなりつつある私にはギリギリ許容範囲だ。

バランスがどうとか調子がどうとか細かいことは分からないが、前の磯竿に比べて二〇パーセントほど軽量化されているだけでもその値打ちがあるってもんだ。


リバティクラブはML(ミディアムライト)のルアーロッドが欲しくて入手。

これまでMH(ミディアムヘヴィ)のショアジギロッドでナイロン四号に直結した二〇グラムほどのメタルジグをフルキャストする度にラインが切れて(一五号のジェット天秤はいくら投げてもOKなのに!)泣きそうな気分を味わって来た私は、ついに観念してフロロカーボン(五号)のショックリーダーを採用することにしたわけだが、電車結びくらいしか出来ない私としては、竿も柔らかいものにする必要があるんじゃないかってことだ。間違ってるだろうか。


リールはナイロン三号を二〇〇米巻くためにチョイスしたレブロス3000。





私にとっては竿と変わらない値段を誇る如何にも「高級機」だが、ダイワの位置づけではあくまで入門者用のリールらしい。うへー、本気で釣りをやってる連中は道具一式にいったいいくら注ぎ込んでるって言うんだ?


さて、肝心の釣りの方だが、ウキを投入すると潮の流れであっと言う間に右に一〇米は流され(道糸を止めてなければもっと流されただろう)、しばらくして私の正面に戻って来たと思ったらそのまま左に一〇米は流されてしまうような状況では、もちろん釣りは成立しなかった。たぶん巨大な洗濯機よろしく潮が港内全体を右へ左へと何度も転回していたに違いない。

ふかせ釣りとは別にイシモチが狙えると聞いて持参したチョイ投げ仕掛けの針にアオイソメを刺して港内にぶっ込んでから置き竿にしておいたんだが、こちらも「洗濯機」にもまれて糸は絡みまくるわ、私のパンツの代わりに巨大な海藻が何本も針にかかるわ、全く話にならない状況だった。


「試験飛行」に挑んだレブロスはなかなかスムーズな巻き心地だったが、まぁ獲物のかかってないルアーをどれだけスムーズに巻き取ったところで意味はないしな。二〇グラム弱のメタルバイブを何度かフルキャストしてみたが、私の電車結びでもすっぽ抜けなかったのと、最後までラインが切れることもなかったのは何よりの収穫だった。


そして私たちは今後、太平洋上に台風がある日は絶対に釣りに出かけないことを心に誓ってその場を後にした。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




August 21, 2015


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

法的には一部の例外を除いて労働者に無条件でその行使が認められている「有給休暇」の取得を巡って、いくつかの「休暇取得の理由」を例にあげ、それぞれがマナーに違反するものではないか、などと独自の解釈を加えてみせた自称コンサルタントの女にインターネット上で猛反発の声があがっている。

女の風変わりな「マナー論」もずいぶんと隅々まで心配りが行き届いていてかなり笑えるものだが、それに反発する人々の感情的な反応も、 彼らがそもそも物事への対処がヘタクソなのか何なのか、現実世界ではおそらく日頃から周囲に対してやる方ない不満や鬱憤を溜め込んでいることを覗わせて興味深い。


まず法律論とマナー論とはまるで別ものだ。もちろん法律上、労働者は好きなときに「有給休暇」を取得する権利を行使できる。そのうえで周囲に悪い印象を与えずに上手に「権利行使」するための手段のひとつが、この女のいうところの「マナー」ということだろう。

そういった意味では、もともと人目など気にしないし、仮に休暇を理由にトラブルに発展しても法的な正当性を担保してあって周囲といつでも争う用意ができているような労働者にはまるで必要のないものだ。そこまでの覚悟もなく、周りの人々からの評価が常に気になるような小心者の労働者にとっては、全く参考にならないものでもないだろう。


「可能であれば」菓子折りのひとつも持参するべきだ、と説くこの女のマナー論を、単純に「なぜ当然の権利を行使するのに、そこまでやらなければならないのか」と反発して切り捨てるのは簡単なことだが、それでも菓子をもらう側は悪い気はしないだろう。

金品で人を釣って歓心を買うようなやり方は実に安易で姑息な方法ではあるけれども、長期的な視野に立てば最も安上がりで楽な方法でもある。


そもそも普段から周囲よりもワンランク質の高い労働を供給して誰からも頼りにされている人物が二、三日休暇を取ったところで、周囲が「困る」ことはあっても「不快に思う」ことはないだろう。

そうした意味では、休暇を取得するための「最高のマナー」とは結局のところ、常日頃から自分を甘やかすことなく安易に楽な方に逃げずに周囲に一目置かれるような成果を生み出すために自らの仕事にこつこつ取り組み続けることであり、「やっぱりあんたがいてくれないと困るよ」と言われる立場の人々にとっては、たまの休暇取得は、むしろ自分の存在価値を周囲の人々に再確認させるいい機会でもあるだろう。


ちなみに、法的に労働者は休暇を取得するのにいちいち理由を告げる必要はない。この自称コンサルタントの女がそもそもその事実を理解しているのかいないのかは定かではないが、いずれにせよ、多少なりとも責任感を持ち合わせた労働者なら、この女が「マナー違反」の例にあげた「気分が乗らないから」「車がパンクしたから」なんて理由で当日いきなり休むようなまねはしないはずだし、賢い労働者はそんなバカな理由をわざわざ正直に申告するくらいなら別の理由を「考えて」申告するか、そもそも理由など告げずに「権利」を行使するだろう。

そして次の日にそいつが手ぶらで出勤してきたときに周囲がどう思うのかは、結局そいつの普段の仕事ぶりによって決まる、というだけのことなのだ。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




August 19, 2015


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

もらいもののチケットで野球観戦。





全く予想してなかったことだが、指定された席はホームベースのほぼ真後ろで球場全体がほどよく見渡せる高さの、私に言わせればこのうえない「特等席」だった!





野球観戦にはもちろんシュタイナーは欠かせない。こいつさえあれば、ピッチャーの表情ばかりか外野の観客席に座ってるギャルのパンティーの色までお見通しだ。


私の嫌いな方のチームの先発は内海投手。二回にマートン選手と新井選手に連続ホームランを浴びたうえに下位打線に連打を浴びていきなり三失点。

嫌いなチームが負けるのは見ていて気持ちいいもんだが、あんまりワンサイドゲームになってもつまらねぇなぁ、などと気楽に弁当を食っていたら、結末はとんでもないものだった。





私が嫌いでない方のチームの先発は能見投手。四回まで私の嫌いなチームの打線をノーヒットに抑えていたのに五回に突然サンドバッグ状態に。そしてKOされた能見投手の次に出て来た「打撃投手のような」二人のリリーフピッチャー(※)が試合を完全にぶち壊してくれた。

※歳内投手と山本翔也投手。どちらも全然知らないピッチャーだ。


もちろん私は種目を問わずプロの世界で戦うアスリートたちに求められる努力の質も量もよく理解しているつもりだ。だからプロの世界に生きるアスリートたちには有名、無名を問わず心から尊敬の念を抱いている。その「打撃投手のような」二人のピッチャーに対しても同様だ。

ただ願わくば、その二人には、よりによって私が観に行った試合には出て来て欲しくなかった、ということだけは指摘しておこう。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




August 6, 2015


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

滋賀県選出の三〇代の国会議員が学生集団のデモを取り上げて「極端に利己的な個人主義」と批判したことで、各界から糾弾の声があがっている。


報道の内容からは個人として「戦争に行きたくない」と考えることが「利己的だ」と言っているかのように受け取れるので、それに釣られて批判者のトーンはヒートアップしているようだが、その議員のブログを読めば、彼の真意は(その真意が国民の共感を得られるかどうかはともかく)報道から受ける印象とは違うところにあることが分かる。却って過剰反応しているあのオカマの教育評論家の方が目障りだ。

もちろん与党の重鎮の誰かが指摘していたように、この議員は「舌足らず」で国民に誤解を与えたことは事実で、その言動の軽さを見るかぎり、そもそも国会議員としてふさわしい資質を備えた人物ではないようだ。


しかし彼のブログに目を通してみると、彼なりのぶれない政治信条を持っていて、適度に勉強熱心で、少なくとも、恐らくは現政権を支持する層に少なからず含まれているであろう、学校ではろくに勉強をしなかったうえに本や新聞をきちんと読む習慣もなかったので包括的な世界の歴史に関する知識、教養がないままに、右翼かぶれの俄か知識で安保、外交を語るのが大好きな、しかし現実の社会では思い描く自分の理想とは程遠い暮らしを強いられ低層で悶々としているのであろう「衆愚」の人々のそれよりはいくらか主張に筋が通っている(支持するに値する「主張」であるかどうかは別問題だ)。


集団的自衛権は、国民がそれを許容するなら当然あってもいい。問題視するべきなのは、法的安定性などどうでもいいと言い放って先人たちが積み重ねて来た法解釈を勝手に都合よく改変する前例を作り、メディアに圧力をかけて自分たちに都合の悪い情報の「隠ぺい」を試み、、そして「公共心」の名のもとに自分たちに従わない国民を「悪」とみなすような教育を浸透させようという政治勢力(つまり現政権)のその政治姿勢なのであって、では反対勢力の唱える平和の実現に武力は必要ない、という主張が正しいかと言えば、それはそれで空虚な理想論に過ぎず、まるで説得力はない。


結局、昨今の政治情勢における、各勢力同士の思想や方向性の対立を見ていると「どっちもどっち」としか思えない。ひとつだけ分かることは、どちら側の陣営であれ、ひとたび政治家ひとりひとりの資質に注意深く目を向ければ、ひと昔前のそれよりも明らかに「劣化」が進んでいるようにしか見えない、ということだ。

特に一番エラいやつの質の凋落ぶりは目に余る。自分の頭や見識がその程度だからと言って、「その程度」用の説明で国民も納得するだろう、という幼稚な思い込みぶりが見ていてまことに痛々しい。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




August 1, 2015


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

夕方と早朝に満潮になるのを見越して「メバルマン」と下田港へ。


初日の夕方は犬走島堤防で例によってアジとクロダイ狙い、翌朝は福浦堤防に移動してイナダ狙い、と完璧なプランだ。私たちはそれぞれふかせ釣りとカゴ釣りのタックルを携え、オキアミブロックを三キロも買い込んで現地に向かった。


犬走島堤防に到着したのは一五〇〇時。夏休みのシーズンとあって混雑を覚悟で来てみたものの、釣り人はほんの数組しかいない。





前回は小メジナ狙いで曲がり角に釣り座を構えたが、今回はもっと島寄りを押さえることにする。理由はシンプルに、前回来たときベテラン風の釣り人はみんなその辺で釣っていたからだ。

つまり私たちはもう小メジナを数釣りしたくらいで満足するような謙虚な釣り人ではなくなっちまったってわけだ。


駐車場に車を入れてから遅めの昼食を車内でとって猛暑をやり過ごし、一六〇〇時少し前に私たちは釣り場への移動を開始した。それでも気温は摂氏三五度を下回ってはいなかっただろう。

燦燦と太陽が照りつける炎天下に、いい加減な舗装しかされてない悪路を、クソ重たい荷物が満載されたたカートを引いてよちよち進んで行くという作業はなかなか釣り人泣かせだ。私たちの苦難を予想していたかのように、堤防入口の売店の店主が「暑さでバテるんじゃないよ」と優しく声をかけて見送ってくれた。


曲がり角と島の中間あたりでいいか、と思ったが、私たちとほぼ同時に堤防入りしたカップルがいち早くそこを押さえてしまったので、私たちはさらに島寄りに釣り座を構えることにした。

海面を覗きこみながら釣り座へと向かったが、堤防の右側と左側を問わず、なかなかのサイズのメジナやアジと思しき魚たちの群れが悠然と泳いでいる。明らかに前回よりも条件はいいはずだ。


今回、私のふかせ釣り仕掛けのメインのウキはハピソンの「特大(6B相当)」電気ウキだ。なぜ昼間から電気ウキかと言えば、夜になっていちいちウキを交換するのが面倒だからだ。もちろん昼間はバッテリーを逆さまに刺して消灯モードで使用する。

そして今回初めて「水中ウキ」を使用する。もちろん犬走島堤防で釣りをするだけなら、海が荒れてでもないかぎり「水中ウキ」は必要ない。だが、翌朝に向かう福浦堤防くらいの水深になると使った方がよさそうだ。なぜ犬走島堤防での釣りにも「水中ウキ」を使用するかと言えば、夜明け前にわざわざ仕掛けを作り直すのが面倒だからだ。

水中ウキはずいぶんと前に入手していながらツールボックスの底の方で眠っていた初心者用のウキ釣りセットからそれだけ拝借して来た。5Bの水中ウキなので電気ウキも合わせたかったのだが、ハピソンのラインナップには5B相当がないので仕方なく「6B」だ。


新しく買ったオキアミとアミエビのブロックをバケツで海水に漬けて解凍する一方で、乙浜漁港で使い切れずに自宅に保管、解凍しておいた撒き餌を撒いて早速試合開始だ。

タナは三.五米くらいにして水中ウキ付きの仕掛けを海中に投じると、遊動範囲が短いこともあって、あっと言う間にウキが立った。5Bの水中ウキを使うということは、まぁ5Bのガン玉をウキに最も近い位置に打つようなものだからな。それにしてもなかなかウキ止めがウキまで到達しないでもやもやする時間が短縮されるのはありがたい。


それに水中ウキは当然沈むためにあるものだが、「ウキが沈む」という現象自体が釣り人にとっては心地のいい瞬間でもあるので(たぶん多くのウキ釣り師が共感してくれるはずだ!)、私は獲物がかかったわけでもないのに海面下におぼろげに見える水中ウキが沈んで行く光景に暫し見とれていた。そんなバカなことをしていたので、メインのハピソンがずっぽり海面下に沈んでいることに気付くのが遅れてしまった!


罵り声をあげながら大慌てで腰かけていた「トランク大将」から立ち上がって勝負を開始する。とは言っても明らかに主導権はあちらにあって、ぐんぐん深いところに潜り込まれて行くのが分かる。

大洗の釣侍で「一番安い」という理由でチョイスして以来、数々の獲物を仕留めて来た愛用の磯竿のしなり具合からして、今までに私が針にかけた獲物たちのなかでも最強の部類に位置する大物のようだ。ロケーションはともかく、この堤防はこれがあるからやめられない。


ほどなくしてハリスがプツンと切れると同時にウキやその他のパーツが道糸と一緒に宙高く舞い上がって、それから足元に落ちて来た。「根に潜られた」ってやつだろう。全く痛恨のドジを踏んじまったぜ!


切られたハリスは一.五号だった。乙浜での思い出もあり、私は自分のちょんぼを棚にあげて一.五号のハリスは「使えない」と判断して二号のハリスに替えることにした。

待てよ?道糸も二号じゃないか。理論上、道糸とハリスの強度を揃えてしまうと今みたいに大物をかけたときに道糸が切れてウキごと持って行かれてしまうリスクが生じることになる。そいつはまったく許容しがたいリスクだ。


私は「何かの予備用に」とロッドケースに忍ばせておいた、三号の道糸が撒かれたリールを取り出して来て、大洗の釣侍で「一番安い」という理由でチョイスして以来、数々の獲物を仕留めて来た愛用の磯竿にセットした。

道糸三号にハリスが二号、ふかせ釣りの教科書で謳われているスタンダードからすると、かなり屈強な仕掛けと言える。さぁ、ちぎれるもんならちぎってみやがれ。


「メバルマン」がちっとも釣れないことをぼやいているうちに、またしても私のハピソンが海面下に消し込んだ。私がそいつを凝視している最中にそんなことをしでかしてしまった獲物が私から逃げおおせる見込みはゼロに近い。私はクールに竿を立ててそいつを巻き上げにかかった。

やり取りを通して獲物が下へ下へと潜り込もうとしているのがよく分かる。なかなかの引き味だが竿のしなり具合も含めてさっきのやつほどパワーがない。こいつはたぶん、もう私が今までに何枚も釣り上げて来た「小メジナ」だろう。

実際、釣り上げてみるとそいつはやはり「小メジナ」だった。早速、針を外して放流しようとすると、様子を見ていた「メバルマン」が信じられない!といった反応をするので、私は思いとどまって念のためにそいつのサイズを計ってみることにした。





あれ!?私がこれまでに釣り上げたことのあるどのメジナよりもデカいじゃないか!


だとしたら、適切にキッチンで処理すれば私の明日の夕食としてこのうえないご馳走になるはずだ。私はそいつを「トランク大将」に放り込んでドブ漬けにし、それからこのサイズのメジナの引き味ではもはや興奮することが出来なくなってしまった現実を少しだけ寂しく思った。


そんな感傷にひたってられる時間はそう長くなかった。次の獲物を釣り上げるために針にエサを付けて仕掛を海中に投じ、ハピソンを厳重監視下に置いた私は目を疑った。

ハピソンのすぐ隣に私の磯竿の先端部が一〇インチほど本体から遊離してプカプカ浮いている。くそっ!竿が折れちまってるじゃないか!!


逃げて行った大物との渾身のやり取りでカーボンが疲労していたところに、そこそこのサイズの小メジナを釣り上げて限界を超えちまったってとこだろうか?どこの釣り場に出かけるにも私と一緒で一年近く苦楽を共にして来た愛用竿だったが、これも運命というやつだろう。

ところで私は初めて知ったんだが、竿の先っちょが折れても、折れた先っちょがウキ周りをうろちょろするのが目障りなだけで(道糸がガイドを通ったままなのでどこかに流れて行ったりはしない)釣り自体の続行は可能だ。とりあえず次に仕掛けの交換が必要になるまでは、これでやってみることにしよう。


やがて陽が沈んで暗くなって来たので私たちは電気ウキを点灯させた。私たちと同じころに釣り座に入ったカップルはとっくに帰ってしまい、他に釣り人は例の曲がり角とそれより岸側に二、三組といった程度だ。

この潮回りで金曜日の夜ともなれば、もっと釣り人だらけになるさまを想像してたんだが、何とも寂しい夜釣りになっちまったじゃないか。


やはりハピソンの周りで所在なさげに海面を漂う折れた「先っちょ」が少々目障りなので手間を惜しまずに仕掛けを作り直そうかと迷い始めた頃に、例によってハピソンがすーっと海面下に消し込んだので、私はトランク大将から「やれやれ」といった気分で腰を上げた。今度の「小メジナ」はどれくらいのやつなんだ?

ところが竿を立てた瞬間、獲物が信じられないパワーで海底目がけて疾走を開始したので私は思わず呻き声をあげた。くそっ!デカチン野郎がかかったぜ!!


どうやらとんでもない大物らしきそいつも下へ下へと逃げようとしているのが分かる。だがこれまで経験したことのないパワーに、そいつがメジナなのかどうか全く確信が持てない。いずれにせよ私がまず避けなければならないのは「デカチン野郎」に根に潜られることだ。つまり竿を立ててひたすら耐えるしかない。オーケー。その方が却ってシンプルでいい。


私は暫く竿と「デカチン野郎」の力比べを楽しんだ。そうしているうちに「デカチン野郎」のパワーで振出式の竿の何段目か知らないが一段だけすとんと落ちて一瞬ラインがたるんでしまった。

大洗の釣侍で「一番安い」という理由でチョイスして以来、数々の獲物を仕留めて来た愛用の磯竿を何だか少しだけ信頼できなくなった私は、それを機にリールを巻きにかかった。


その頃にはもう相手は持てる力を使い果たしてしまっていたようだ。海面までそいつを上げて来るのにさほど苦労はしなかった。私は、私がリールを巻き上げ始めると同時に、明らかに相手がこの勝負を「投げた」のを感じた。

前回とは打って変って)慣れた手つきで、いつでも使えるように近くに待機させておいた玉網を手にした私は、そいつを海面に延ばすと一発で獲物を掬い上げた。

灯りに照らし出されたのは紛れもなく「大メジナ」だ。いや、メジナを専門に狙って険しい磯に通い詰めるようなベテランに言わせれば、それほど大した獲物ではないのかもしれないが、私のように未だに堤防で五目釣りに明け暮れてるような末端の釣り人にとっては十分に「大物」だ。


サイズは三三センチメートル(翌朝撮影)。





上のはそれまでに私が釣り上げた中で「最大」のメジナだ。ははは、何が「最大」だって?


早速、持ち帰って刺身にして食っちまったわけだが、腹からは私の撒いた撒き餌らしきものがどっさり出て来た。たぶんもう何年も釣り人の撒くエサをたらふく食って生きて来たんだろう。

そしてひょっとすると、やつは日々の食事を釣り人のエサに依存するというリスキーな選択の代償として、ひたすら釣り人との勝負に勝ち抜くことで生き延びることを許されて来た歴戦のファイターだったかもしれない。そして今度も力ずくで勝てると思っただろう。気のせいかもしれないが、針にかけた直後にやつが私に見せつけたパワーに、私はやつのそんな自信に裏付けられた「勝算」をすら感じ取った。悪いな、まさか三号の道糸で挑んで来るようなインチキ「ふかせ釣り師」が夜釣りをやってるとは思わなかったかい?


まぁそんなわけで偉大なるファイターに一種の敬意を抱きながら、缶ビールを片手にやつの刺身を頂いたわけだが、背側の身はそれはもう絶品だった。腹側は・・・ 何だか少し変な風味がした。

明るくなってから写真を撮るために(と言うより主に少々面倒に思えたので)、その場で締めなかったのがよくなかったかもしれない。


尺を超えるメジナを釣り上げたのが初めてなら、電気ウキが点灯中に獲物を釣り上げた(つまり夜釣りで釣り上げた)のも初めてだった私は(おまけに折れた竿で)、一気に課題をいくつも片づけたような気がして気を抜いたわけでもなかったのだが、あとは「メバルマン」と一緒にサバっ子を何尾か釣っただけでその夜の釣りを終えた。


そして福浦堤防の駐車場へと移動した私たちを待ち受けていた驚愕の事実。





もともと七月に工事をやること自体は知ってたんだが、スケジュールを勝手に変更されるとは・・・。





仕方がないので翌朝も犬走島堤防の先端でやってみたが、「イナダ」狙いのカゴ釣りは不発。


猛暑に耐えかね釣りをさぼって「メバルマン」には内緒で堤防入口の売店でカキ氷を堪能しているときに親切な店主に聞いたところでは、ここ数年、福浦堤防とちがって犬走島の方はワカシクラスは寄るものの、イナダの寄りはよくないらしい。まぁこっちは前回のカワハギといい、居着きの魚は楽しめるからな。


朝の部では、「メバルマン」が「ウキふかせ」でサバっ子をたくさんと一五センチほどのメジナを一枚釣り上げたが、私は「クソベラ」一枚のみ・・・。





図鑑には「オハグロベラ」という名前で掲載されていながら、とてもシュールな呼び名がついているこの魚はもちろん本来は投棄対象だが、針をしっかり飲み込みやがったので針外しを喉に突っ込んでえぐり出すと、胃袋か何かが針と一緒にベロンとずり出されて来ちまった。これでは海に返すと本当にゴミの投棄になってしまうので仕方なく「トランク大将」へ。


小メジナと一緒にガーリックなどまぶして軽く焼き揚げにして試食してみたが、まぁ食感というか、歯ごたえがメジナには少々劣るものの、その淡白で上品な白身は食えないことはなかった。


そして一〇〇〇時近くになってもう帰る頃に、「クソベラしか釣れないなんて全くクソだぜ!」と「メバルマン」に大声で話しかけた私の目の前で、父親らしき人物とやって来て近くで釣りに興じていたのはいいが、たぶん何も釣れてなかった一五歳くらいの少年が「クソベラ」を釣り上げたので、私は少々決まりの悪い思いをした。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。



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