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July 19, 2015


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

性懲りもなくアジとクロダイ狙いで南房の乙浜漁港へ。それにしたって、もうかれこれ一年近くもアジを追っかけてるのにちっとも釣れやしないじゃないか。


満潮が一八四〇時と翌〇五四〇時という格好の潮回りなので、今回は夕方から明け方まで釣るスタイルにする。そうは言っても気象予報によれば日付が変わる頃にはゲリラ豪雨のおそれすらあるうえに風は終始風速一〇米/秒前後で吹き荒れるとある。

率直に言って、潮回り以外の条件は「サイテー」だ。


メンバーはいつもの「メバルマン」に加えて一年前の船釣りでは一度も竿を握ることなくひたすら海に向かってゲロを吐いていた人物も参加する。何でも最近、自宅マンションの管理組合の理事長に就任されたようなので、ここでは「理事長」とでも呼ぶことにしよう(個人的には「ゲロのひと」でも構わないのだが)。


「アタック5」に寄り道をして一七〇〇時に現地着。もともとは前回と同じく南側の護岸から港内向きに釣り座を構える予定だったが、気象予報が芳しくないからか、人気のポイントとされるトイレ側の突堤には釣り人が先端部に二人しかいない。たしか護岸よりこっちの方が水深が深いはずだ。私は二人に指示して突堤の東向きの中ほどを占領させた。デキる釣り人は現場を見て何事も臨機応変に対応しなければ。


私はいつも通り、多彩な魚種に柔軟に対応できるように五.三米の磯竿で「ふかせ釣り」、残る二人はアジ狙いの「カゴ釣り」で挑む。だいたい私が二人に誘われて一番最後に釣りを始めたって言うのに、彼らはお世辞にも勉強熱心とは言えないので、今回にいたっては私が彼らの使う仕掛けをわざわざ自宅で作って持って来てやる始末だ。


そんなわけで彼らは釣り座に着いてすぐに釣りを開始することが出来たわけだが、私が自分の釣りの準備をしていると、間もなく「メバルマン」の竿が程よく曲がって彼は猛然とリールを巻き始めた。ほほぉ、やつの仕掛けにかかったのはいったい何だ!?


何と、彼が釣り上げたのは「尺アジ」かと思われるほど(あとで計ってみたら二七センチだった)巨大な「黄金アジ」だった。げー!私に仕掛けを用意させておきながら私の準備も終わらないうちにそんな大物を釣りやがって、この野郎!


平静を装いながらも私の仕掛を準備するピッチが上がる。ひとつだけ言えることは、今回やつの仕掛けを作ったのは私で、結局この場を仕切っているのは私だ、ということだ。タナは三.〇米、付け餌はLサイズのオキアミ。すべてが私の計算通りに進んでいる。

ウキ下をぴったり三.〇米に合わせ、ガイドブックのお手本に寸分違わないほど丁寧にオキアミを針に刺すと、久慈漁港で余ったので自宅の冷凍庫に保管しておいた「チヌ何とか」とパッケージに掛かれた集魚剤入りの撒き餌をばら撒きながら、私は華麗に仕掛けを海中に投じる。間もなく私のウキも海面下に消し込んだ。





ひゃー、神様は何て公平なんだ!


このランクのアジだと時合いはそう長くないだろう。手返しが要求される場面だが、二尾めが針をしっかり飲み込んでくれたおかげでハリスを交換しなければならなくなった。くっ!こんなときに限って舐めたまねを。

結局、必ずしも私が十分釣りに集中することが出来ないうちに、たぶんたったの一五分ほどで祭りは終わった。


終わってみれば一尾バラしてしまったこともあって私が釣り上げたのは三尾。「メバルマン」も三尾、全てが二五センチ前後の粒揃いだ。「理事長」も、わざわざエラをひっかけに針の方へと泳いできてくれた親切なやつを一尾釣り上げて面目を保った。まぁ、あんまり釣り過ぎて自宅のキッチンでの作業が気の遠くなるようなボリュームになっちまうのも考え物だしな。私たちはひとまずその結果に満足して互いの健闘を称え合った。


何も釣れない時間がやって来て、一九〇〇時を過ぎた頃には早くも二人が空腹を訴え、「飯を食いに行くがどうだ?」と言い出したのだが、私は丁重に断った。

もともと夕方の釣り場は夕食どきに一度撤収して私も食事に出かける予定だったが、せっかくこの豊漁ポイントを押さえた以上、できれば朝までここを放棄したくない。おかげで私の夕食はザックにしのばせておいた「ポテトチップス」だ。


二人が夕食へと出かけて、もともといた釣り人も一人帰ってしまったので、突堤上には私と、雨合羽に素顔を隠して尋常ならざるオーラを漂わせている大ベテランらしき不気味な釣り人の二人っきりになってしまった。

ベテラン師のウキは突堤から二〇米ほど東の海面に静かに浮いていて、それは私たちがここにやって来たときから全く変化がなかった。私たちが上物のアジを釣り上げて歓喜しているときにも、件のベテラン師は身じろぎひとつせず静かにパイプ椅子に腰をかけてじっと自分のウキを見つめていた。


事態を正しく理解してない私が、私たちがそこに参上して以来、小魚一匹釣り上げてないそのベテラン師に向かって、心の中で「そんなに沖でアジは釣れないんだぜ、爺さん」とこっそり呟いたことは認めよう。素直にもっと手前を狙えばいいのに、とか何とか思ったことも事実だ。だがベテラン師には私たちが釣って大喜びしていた「良型の黄金アジ」など、はなから眼中になかった。

彼が仕掛けのチェックのために手元にそれを引き寄せているのを見て分かったことだが、彼は私たちが釣ったのとそう変わらない立派な大アジを「活きエサにして」、じっと大物のアオリイカを狙っていたのだから!


私は釣り人たちの間にも、あの悪名高いカースト制度よりも強固な、越えるに越えられない「身分の違い」があることを学習した。


すっかり日が暮れて、私の立っている場所が近くの旅館のネオン灯の灯りがなければ本当に真っ暗闇になってしまいそうになった頃、ぼんやり考え事をしながら浮かべていた私の電気ウキが勢いよく海面下に消し込んだ。さぁ、仕事の時間だ。

アジの群れが去ってからかなり時間が経ってるから今さらやつらじゃないだろう。そもそも引きのトルクがアジとはまるで違う。まさに「磯魚」のそれだ。くっくっく、こいつはもしやひょっとして・・・?


夜が明けてから私が両手に抱えた大物の「クロダイ」を自慢げにカメラに向けて記念撮影に興じているさまを思い浮かべながら、腰を下ろしていた「トランク大将」からゆっくりと立ち上がって勝負を開始しようとしたそのとき、あっけなくハリスがプツンと切れてそいつは漆黒の海中へと逃げて行った。何だよ!まだ何にもしちゃいないじゃないか!


一.五号のハリスをいとも簡単に切られた私は二.〇号のハリスに差し替えてしばらく粘ってみたが遅かった。食事に出かけていた二人が戻って来て、そのまま車の中で寝る、と言う。とにかく風がびゅーびゅー吹き付けるので「釣りなんてやってられないぜ!」ってことらしい。私も、私のハリスを引きちぎったまだ見ぬ「大物」を一旦諦めて、釣り座に置いた道具はそのままに、気分転換にルアーを通しに港じゅうを徘徊することにした。


トイレ前の護岸では一〇組ほどの釣り人がサビキ釣りみたいなことをやっていた。ちょっと歩けばここよりも明らかに獲物に恵まれてそうな突堤があるというのに、誰もそっちに行かないのは、護岸には常夜灯が何本も立っていて見るからに安全だからだろう。

あるいは常夜灯周りには魚が集まるという、よく耳にする「教え」を信じてそうしてるのだろうか。だがどんな魚種であるにせよ、私のターゲットであるべき経験値が豊富で警戒心も強いと思われる「大物」は、安易に煌々と灯りの照らす岸際までふらふらやって来たりしないだろう。


忌々しい風にもめげずに釣り人のあまりいないスペースを見つけては、上州屋でみつけた1個四八〇円の「シンキングミノー」をひたすら投じて引いてみる。強風はふかせ釣りにも厄介だが、ルアー釣りに与える影響はまことに計り知れない。

風は南西方向から吹き付けて来る。護岸から南向け−正面−にルアーを投げたはずなのに、引いて来ると一〇時の方向(東南東)からルアーが戻って来ることすらあった。もちろん私のキャストがヘタクソ過ぎてそうなったわけではない。どれだけひどい風だったか分かるだろう?


日付が変わる頃まで護岸上を練り歩いてあらゆる方向にルアーを通しつつ何本かの活きのいい海藻を釣り上げたところで私は突堤の釣り座に戻ってひと眠りすることにした。風がびゅーびゅー吹き付ける幅五米、海面までの高さが三米ほどの堤防の上で好き好んで仮眠をとる釣り人は、ひょっとすると世の中にあまりいないかもしれない。

それがどうしたって言うんだ?冬山でときに味わう寒さと恐怖を思えばちっとも騒ぎたてるほどのことでもない。


結局、大ベテラン師は何も釣れないまま引き上げたようで、突堤には私ひとりだけになってしまった。もちろん私はベテラン師が放棄した先端部を自分の釣り道具で占領し、テント用のマットをしいて急ごしらえのベッドを作り、トランク大将とツールボックスを並べて風よけにした。横になった私に容赦なく吹き付ける風を完全に防ぎきることは出来なかったが、それでもそれらの風よけのおかげで私の寝床はいくらか快適になった。


びゅーびゅーと吹き付けていた風がいつしかごうごうと吹き付けるなか、南の堤防側から聞こえてくる荒れ狂う波の音にもいつしか慣れてしまった私がうつらうつらしていた頃に、突然、誰かが私の顔を強烈なライトで照らしたので私は驚いて目を覚ました。

どうやら突堤上に今夜初めてのゲストが現れたようだ。太った坊主頭と、これと言って特徴のない若者の二人組で、坊主の方の無駄に高性能なヘッドライトが何度も私の顔を照らすので私は少々イラついた。


別に坊主頭は悪気があってそうしてるわけではなさそうだ。つまり隣に立ってる相棒と会話をするために相棒の方を見る度に、相棒の延長線上にいる私の顔が眩しいライトで照らし出されるってわけだ。気配りの足りないやつらだとは思うが、彼らに言わせればこんなところで寝ている私の方が頭がイカれてるってことになるだろう。文句を言うわけにもいかない。


私は再び眠りにつこうとしたが、ほんの数分もしないうちに相棒の方が「よぉ、かかったぜ!」と坊主頭に大声で知らせるのを聞いてマットの上で思わず飛び起きた。

相棒は東側に向けてルアーをキャストしたようだ。そこは寝床に着くまでに私が散々ルアーを通したところでもある。水深が浅いのか何なのか、それほど沈めずにルアーを引いたのに何度も海藻が引っかかっって来たゾーンでもあり、そして例のベテラン師がそいつを見越したかのように、海藻の際を棲家とするアオリイカを狙って何時間も粘ったゾーンでもあった。

「落ち着いてやれよ!」と坊主頭が興奮しながら自分にかけるべき言葉を相棒に投げかける。私はマットの上に座り込んでじっと相棒のロッドの先端を見守る。私の目利きではどう見ても魚がかかってるようには見えないんだが、相棒は頭からそう信じている風だ。


やがて回収された仕掛けの先には思ったとおり、立派な海藻がぶら下がっていたので、私はつい心の中で「ふざけてるのか?」と呟いたのだが、眠りを妨げられて少々いらついていた私は、ひょっとするとはっきり声に出してしまったかもしれない。

分かっているとも、そこは本来、人が睡眠をとるべき場所ではない。私の怒りは半分八つ当たりのようなものだった。


私がそのまま寝床に戻ると、それから数投ほど試した二人は「風が強くて釣りにならないぜ!」と捨て台詞を吐いてどこかに行ってしまった。オーケー、そいつは私も全く同じ意見だ。でもいちいち口に出して言うことか?


〇四三〇時の夜明けに備えて〇三三〇時まで仮眠をとってから朝釣りの準備を始める計画だったが、あまりに風が強くて、さすがの私も〇三〇〇時前には震えが来るほど身体が冷えて来たので予定より早く起床する。

まぁ風はともかく予報では降ることになっていた大雨が降らなかったことだけは幸運だったというほかはない。


袋にまだたっぷり残っている「チヌ何とか」を撒き餌に追加して海水ごと撹拌し、朝の「ふかせ釣り」に使う分を補充するとともに、竿立てに立てておいた竿を見てみると風のせいで道糸が蔦系の植物のつるのように何重にも巻きついてしまっていたので、そいつを丁寧にほどく作業に明け暮れる。ようやく準備が整った頃に東の空が白んで来た。ちょうどいいタイミングだ。


私が突堤先端の東側に仕掛けを垂らして釣りを開始したころに「メバルマン」と「理事長」も起きて来た。相変わらず風が強いので「理事長」はすごすごと車に戻って行ったが、「メバルマン」は自分の竿を手にとってカゴに撒き餌を詰め始めた。

朝のゴールデンタイムに合わせて釣り人も続々と港にやって来る。ほとんどの釣り人が「安全な」便所の前の護岸に釣り座を構えたが、一組だけ突堤までやって来て昨日私たちが陣取ったポイントで釣りの準備を始めた。


〇四三〇時の夜明け直後からしばらくは何も起きなかったが、〇五四〇時の満潮からしばらくして、たぶん下げ潮に転じた頃に、まずマイワシがかかった。釣り上げられて堤防上に横たわったマイワシはセメント上を泳ぐかのようにプルプルと身体を震わせるのだが、そのたびに彼のうろこが一〇枚、二〇枚と剥がれて周囲に飛び散って行く。私は一切手を触れてないのに見る見る彼の姿は変わり果てて行き、最後は目玉まで飛び出して全身ボロボロの姿でマイワシ氏は壮絶な最期を遂げた。


五分もしないうちにまたしても私の針に何者かがかかった。朝日をバックに浮かび上がる釣り上げられたそいつのシルエットを見て私は隣の「メバルマン」に「イワシ釣りの時間だぜ!」と声をかけたが、陸揚げしてみると魚体が妙に赤っぽい。何だこいつは?

「ムツじゃないか?」と「メバルマン」が言った。おっしゃるとおりだ。彼は釣りのスキルはともかく明らかに私よりも博学だ。


体長一八センチほどの「むつっ子」。





最後に私のウキを一気に水面下に沈めたのは一四センチほどの小メバルだった。





今回の釣果。





終わってみれば夕方の一時間だけ釣ってさっさと帰ってればよかった気もするが、まぁ何事も経験を積むことに意味があるのだ、ということにしておこう。


〇六三〇時に帰り支度を始め、小用を足しに便所に向かいがてら護岸に並ぶ釣り人たちの様子を窺ってみると、みんなサビキ釣りで小イワシを鈴なりに釣り上げているようだった。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。







July 17, 2015


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

カブトムシどもの世話はなかなか骨が折れる。食べカスだかやつらの糞尿だか知らないが毎日のようにベチャベチャに汚れるエサ台をきれいに洗ってドライヤーで乾かし、新鮮なエサを乗せてから小屋に入れてやる。そこまでして清潔な環境を整えてやってもどこからともなく小バエがやって来て住み着くばかりか、所かまわず卵まで産みつけやがるので、どんどんやつらが湧いて来る。


卵やウジは発見次第、土ごと取り除いて廃棄。目に着いた成虫は一匹残らず恨みを込めて指で潰す。乾燥した環境なら小バエも住み着きにくいんだろうが、そうするとカブトムシどもも暑いようで土に潜りたがらなくなって、一丁前に飼育ケースの蓋になど逆さまにしがみついて彼らなりの「抗議」をする。私は仕方なく、せっかく小バエの寄り付かなくなった小屋に霧吹きで湿り気を与えてやる。

そして次の日に掃除をしようと飼育ケースの蓋を開けてみると、またぞろ小バエどもが何匹もプーンと飛び立つってわけだ。


もちろんカブトムシたちは、そこまで彼らにご奉仕している私を退屈させないために、たまに私の目の前でエキサイティングなファイトを繰り広げてくれる。闘鶏や闘犬は動物虐待だ、という意見があるのは私も知っている。だから何だって言うんだ?





最後の決まり手が素晴らしい。実に見事だ。いかにも芸術的で、その華麗さはロドリゲスのシュートやイチローのバックホーム返球にも値する。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




July 12, 2015


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

久しぶりに雨がやんだので去年パパとママを捕獲した公園の雑木林に彼らのベイビーを放虫しに出かけた。ひとまず二軍選手扱いのオス七匹を虫かごに収容して現地へと向かう。到着したのは二二〇〇時。


放虫に関するさまざまな意見があるのは私もよく知っている。外国産の昆虫を国内に放虫するようなマネは、かつて「遊びのために」凶暴な外来魚を湖沼に放流したバカどもがやったのと同じレベルの自然に対する「重度な」冒涜だ。

ところで私の管理下にあるカブトムシたちは、母親が一〇〇パーセント東京産、父親は一部熊本産の遺伝子を受け継いでいることになるから、今回の放虫によって「若干の」熊本系の遺伝子情報が都内の公園に放出されることになる可能性がある。だから何なのだ?

そのことに文句があるやつは、例えば東京出身の女と熊本出身の男が結婚して出来た子供にも「やぁ、調子はどう?ところで君は混血児なんだぜ」とでも言い放つつもりなのか?全くバカげている。


公園には虫取り網を手にした親子が何組かいた。たぶんカブトムシかクワガタムシを探しに来たんだろうが、そのへんの木を手当たり次第に探しているようだ。少しでもお家で勉強して来た「採集家」なら、まずはお目当てのやつらが最も集まりそうなクヌギの木を探すことから着手するだろう。さすがにやつらは桜の木の幹にはいないと思うんだが、ひょっとしておたくらはテントウムシでも見つけに来たのかい?


クヌギの木がまとまって生えている一帯に到着した私は、早速虫かごを開いて彼らがいつでも大自然へと帰れるようにしてから周囲のクヌギの木の探索を開始した。つまり、その・・・。やたらとデカいカブトムシやカッコいいクワガタムシを発見したら、空っぽになった虫かごに放り込んで拉致しよう、というわけだ・・・。


去年オスを捕獲したポイントからはもう樹液が出てなかったので、そこには何もいなかった。代わりに別のポイントでオスのカブトムシを一匹発見したが、サイズは中堅クラスだったのでそのままにしておいた。

そしてあるクヌギの木の幹でオスのコクワガタを発見した私は散々迷ったあげくそいつを自宅に連れ帰ることにした。さて、虫かごのもとに戻るとするか。全員とは言わないまでも、まぁ大半のやつらはとっくに大喜びで大自然へと飛び立って行ってしまったことだろう。


虫かごのもとに戻った私は愕然とした。ただの一匹すら減ってないじゃないか!彼らにとって自然に帰ることはそれほど喜ばしいことではないのだろうか。


虫かごにしがみついてる彼らをその意に反して無理に引きはがしてまで放虫する、というのは何か違うような気がする。結局、私は彼ら全員を引き取ることにした。

おまけにコクワガタに加えて帰り道で街灯の下に落ちているのを見つけてしまったまずまずのサイズのメス二匹まで私は自宅で面倒をみる羽目になった。いったい私は何をしにあの公園に行ったんだ?


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




July 11, 2015


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

この時期はクロダイとアジが同時に狙えると噂の日立の久慈漁港へ。


潮見表では日の出が〇四時三〇分、〇六〇〇時が干潮で一三〇〇時が満潮という潮回り。あまり芳しいとは言えない条件だが、まぁ日の出のゴールデンタイム狙いで〇四〇〇時にゲーム開始、潮止まりに入る昼前には切り上げるのが妥当だろう。

メバルマン共々、日付が変わる頃に東京を出発して、〇二〇〇時過ぎに現地に到着。海水浴場の駐車場で仮眠をとって〇三三〇時に起きてから駐車場付の便所で小便を済ませ、それから車を堤防先端近くまで移動させて路肩に止めようとしたが、既に釣り船客の車が数十台殺到していてかなり手前に駐車する羽目に。


堤防の高さは七、八フィートといったところで、一旦舗装された道を先端方面へと歩いてから途中に設置してあるハシゴを使って堤防へとよじ登る。と言うことは、カートに積みこんだ荷物をいったんバラしてから堤防上まで荷揚げして、もう一度荷造りをし直さなければならないってことだ。とりあえず今後ともここに一人で来ることだけはやめておこう。


目指すは赤灯。一級ポイントと思しき先端に先客が一人いるが思ったほど混んではいない。まずは一段下がった少し手前の外海側に釣り座を構えて仕掛の準備に取り掛かる。

クロダイにもアジにも柔軟に対応するために、当然、二人とも仕掛けは「ウキふかせ」だ。そして私はいつものように特製スペシャルブレンドこませの製造に着手する。

冷凍オキアミブロックと、アジを寄せるために鼻の曲がりそうな異臭を放つ「アミエビ」、さらに海底に潜むクロダイ諸君のもとに確実にそいつをお届けするために比重の高い「チヌ何とか」とパッケージに書かれた集魚剤もバケツに放り込み、海水を適量加えてかき回す。


早速、出来上がりを海面に撒いてみる。たちまち見たところ一〇センチメートル弱の小魚の群れが寄って来た。何だ?ネンブツダイか?まぁ何でもいい、魚たちの活性が高いというのは良い傾向だ。だがそいつをひと目見た「メバルマン」が一言、「フグじゃないか?」と言った。何だと!?


うーむ、たしかに私が撒いた撒き餌に群れて貪り食ってやがるのは釣り上げられたが最後、多くの釣り人からゴミよりもひどい扱いを受けるフグのキッズどもだ。

ゴミが針にかかっただけなら取り除いて捨てればいい。こいつらはいつもエサを食い逃げするばかりか立派な前歯で針に危害をくわえて仕掛をダメにする。それにこいつらは魚たちからも嫌われているので泳がせ釣りのエサにすらならないし、もちろん人間さまの食用にも回せない。私は彼らを私に出来る限り丁重に海に投げ捨てるが、ゴミすら持ち帰るくせにこいつらだけは堤防上に放置してミイラにしてしまう釣り人が何と多いことか!


私より仕掛けを手早くセットした「メバルマン」がゲーム開始とともに早速チビフグを三匹たて続けに釣り上げたので私は声をあげて笑った。そして私はその「惨状」を参考に、くそったれどもの層をすぐに突破できるように、私の深場狙いの「スタートセット」である5Bのウキと2Bのガン玉という基本仕掛けに、今日はさらにもうひとつ2Bのガン玉を追加することにした。

第一投から早速すっぽりウキが水面下に消し込んでいく。しかもチビフグにはありえない手ごたえだ。ふっふっふ、私の頭脳をもってしてやつらをかわす事くらいわけないことさ。


かかっていたのは二〇センチ近くはあろうかという、やつらの「親分」。





それから先はやつらの「食い逃げタイム」だった。どんなに丁寧に付け餌を針にさしてもやつらは上手にそれを咥えて持ち去る。どうにか錘やウキ下を調整して縦のラインで勝負しようとしても、仕掛けが着水するや否や、付け餌が沈み始める前にやつらが襲撃してくるのでまるで意味がない。


縦が無理なら「横の勝負」に持ち込むしかない。左手に撒き餌を撒いてやつらをそちらに釘づけにしておいて、右手に仕掛けを投入する。アタリを感じて巻き上げてみると針にかかっていたのはなぜかシロギス。





ふかせ釣りで釣れてもちっとも嬉しくない。


おまけに名付けて「横の作戦」は、すぐにやつらに見破られたようだ。撒き餌をどこに撒こうが、ウキがチャポンと着水した瞬間にやつらはそっちに殺到するようになった。こうなってしまうと撒き餌なしで仕掛けを投入したってやつらをかわせない。すっかりお手上げだ。

まぁグレ針を使っているらしい「メバルマン」とちがって私のチヌ針にチビフグが「かかる」ことはないので、やつらをいちいち針から外して海にぶん投げる手間が省ける事だけがせめてもの救いだった。


試合開始から一時間ほどで先端部を占領していた先客がお引き取りになったのでそちらに移動してみたが、何ら事態は変わらなかった。〇七〇〇時を過ぎた頃にチビフグどもに混じって小アジも寄って来るようになったが(上げ潮に転じたからだろうか)、まぁそうは言ってもチビフグ五〇尾に小アジが二、三尾くらいの割合なのでどうにもならなかった。

私は局面を打開するために自分のこさえた撒き餌で「ダンゴ釣り」が出来ないか、とトライまでしてみた。私と同じように何でも行き当たりばったりでチャレンジしてみる釣り人は既に知ってることだろうが、ただの集魚剤でダンゴを作る事は不可能だった。


結局、適当なところで見切りをつけた私は、ランチタイムまで爽やかな青空と心地よい潮風のもと、青物シーズンに備えて一〇フィートのジギングロッドにナイロン四号ライン、一五号のジェット天秤を使った弓角仕掛けをひたすら投げる練習に明け暮れた。向かい風のなか、飛距離は目測で六〇から七〇米ってところだろうか。何よりも実地検証によってその組み合わせなら力糸はいらないことが実証できたことが心強かった。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。







July 9, 2015


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

夜中に用を足そうと寝ぼけ眼で便器の蓋を開けたらオスのカブトムシが腹をこちらに見せてチャプチャプ暴れながら水たまりに浮いていたので、私は一気に目が覚めて思わず怒鳴り声をあげた。「何だお前は!?」


はっきり覚えてないが、後から思えば私がまさに放尿しようと右手でペニスをつまむ直前に私のすぐ横を一陣の風が吹き抜けたような気もする。つまりそいつは私に発見されるまで何時間もそこで溺れていたわけではなくて、たぶん私とほぼ同じタイミングで便所に侵入して来て、それから間もなく悲劇に見舞われたんだろう。

とにかく私の尿道を勢いよく小便がほとばしる前に彼を発見できたことは幸運なことだった。私にとっても、もちろん彼にとっても。私は「小便小僧(あやうく私の聖水まみれになるところだった彼にぴったりの名前だろう?)」を素手でつまみあげて、既にある四つの飼育ケースのうちのひとつに放り込んでから用を済ませ、忘れずにいつもより丁寧に手を洗ってから眠りについた。


いま私の自宅では四つの飼育ケースに二〇匹前後のカブトムシが暮らしている。(小便小僧以外は)すべて卵から育てた連中だ。と言っても、ほとんど世話をすることなく直射日光がなるだけ当たらない部屋の隅に放っておいただけだが。

去年それぞれのママが卵を産み付けた飼育ケースは二つあって、そのうちのひとつは羽化に成功したやつらのなかでも特に身体が大きく美しい色艶をした一匹のオス専用にあてがわれていて、私はそれを「王様ハウス」と呼んでいる。





さらに「王様ハウス」には、これまた体格に恵まれた「お妃様」として迎えられるにふさわしいメスを同居させているのだが、たまにややみすぼらしい「平民」レベルのメスが「王様ハウス」をうろついている事がある。私によって計画的な部屋割りが為された後でひょっこり地上に姿を現した遅生まれのメスたちだ。

まぁたまには「お妃様」にも休息が必要だろうし、王様にも気分転換が必要な夜だってあるだろう、という理由で、私は彼女たちをハウスから追い出さないことにした。


もう一方のケースには下々の身分のメスが少なくとも五匹は暮らしているはずだが、彼女たちはあまり地上に姿を現さないので正確な頭数が分からない。

さらにその小屋には二、三日周期の入れ替わりで二匹前後のオスが投入される。たまたまメスが地上に姿を現すタイミングと重なることが出来たオスには夜のお楽しみが待ってるって寸法だ。


このケースは私によって文字通り「繁殖小屋」と命名されている。





残る二つは、先月あわててアマゾンで注文した新しい飼育ケースで、どちらもオス専用の「待機小屋」になっている。


メインの「待機小屋」の定員は五匹だ。





理屈上、特にオスの多頭飼いはよくないとされていて、実際のところエサ場はちゃんと五ヶ所設けているにも関わらず毎晩のようにどこかで小競り合いが起きるのだが、 そんなトラブルは自然環境においては日常的に起きている些細なものだろう。いちいち気にする必要もないというのが私の飼育ポリシーだ。


もう一つの「待機小屋」の定員は二匹。





こちらは簡単に言ってしまえば「いじめられっ子」用の飼育ケースだ。つまりケンカが弱いか、あるいは気が弱いせいで、いつもエサにありつけずにケースの隅っこでじっとしている姿を見かねて私が用意したシェルターのようなものだ。まったく文部省なんかより私の方がよっぽど「弱者への気配り」に長けている。

もっとも彼らだって「繁殖小屋」に入れてやると途端に凶暴化して、メスを見つける度に飛びかかる。何だか人間の性犯罪者と似てやしないか?


ちなみに寝ぼけたまま私が「小便小僧」を放り込んだのはこの部屋だった。彼はたちまち「いじめっ子」の本性を現してエサ皿のひとつを独占した。


ところで分からないのは、「小便小僧」はいったいどこからやって来たのかってことだ。飼育ケースの蓋なんて簡単に持ち上げてしまうカブトムシのポテンシャルを熟知している私によって管理される四部屋の戸締りは極めて堅牢なので、そこから脱出したというのはちょっと考えられない(かと言って数を数えても脱走犯でないことを証明することはできない。地中から新しく出て来たオスかもしれないからだ)。

ということは、主に「繁殖小屋」から漂うメスの匂いを嗅ぎつけた野生のオスがどこか遠く離れた林か何かから私の自宅までわざわざ夜這いにやって来たということになる。カブトムシの嗅覚はかなり優れているらしいから全くありえない話ではないが、もし本当にそうであるなら大した執念だ。私もぜひ見習わなければ。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。
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