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May 16, 2015


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

いつものメンバーとアジが大量に湧いているという噂の南房は乙浜漁港へ。


〇九〇〇時に東京を出発。あいにくの雨だが天気予報によれば昼過ぎにはやむはずだ。

満潮は一六〇〇時の少し前らしいので、まぁ一四〇〇時に釣り座についていれば、三人がかりで私が持参した容量三五リットルの「トランク大将」をピチピチはねる活きのいい黄金アジで満タンにするくらいわけもないことだろうって寸法だ。


アクアラインの橋を渡る頃には雨しぶきで前が見えないくらいのひどい雨だったが、私たちは日本の気象予測技術を信頼して、まずはのんびり昼食にするべく「福喜庵」へ。

一一時一五分の到着で私たちが三組めの客だったようだが、すぐに満席になってしまった。


噂に聞く「福喜丼(一,三〇〇円・一日限定十食)」。





いや、もうとにかくネタがどっさり乗っているので、米が全く足りない。

私は塩焼き定食を注文したメンバーが「おかわり」をしたライスを適量横取りした。


一三時過ぎには現地に到着したものの、近隣にコンビニエンスストアがないことを学習した私たちは、食糧その他を手に入れるために、いま来たばかりの道を引き返して一〇分ほど前に見かけたコンビニエンスストアまで舞い戻る。

ほかの二人はもちろん「お得意の」サビキ釣りでアジ狙いのようだが、私は夕方まではシロギス狙いだ。漁港に戻って近くの釣具屋に「ジャリメ」を調達しに向かった私は、「ジャリメ」は置いてない、という衝撃の事実を店主に告げられてしまったので、代わりに「アオイソメ」を入手した。

ここしばらくは「分相応に」小物狙いに徹して来た私にとっては「ジャリメ」こそがお気に入りの虫エサだったんだが、こればかりはどうしようもない。

店主が冷蔵庫から取り出して来て私に手渡してくれた1パックは、五〇〇円という値段の割には本数が少々少ない気もしたが、まぁそいつはたぶん最近私が身の細い「ジャリメ」ばかり目にしていたからだろう。


私たちはアジの回遊に備えて堤防先端にほど近い港内向きに釣り座を構えた。立ち入り禁止と書かれた柵のすぐ手前で一人の若者がへち釣りか何かに興じていて、五米ほど間を取ってそのすぐ隣が私たちだ。


外向きのテトラ帯には何組かの釣り人がいるようだが、港内向きに陣取っている釣り人はほとんどいない。





かなり混雑する釣り場と聞いていたのでそれなりに覚悟をしていたのだが、午前中に雨が降ってくれたおかげで、遠方の釣り人は諦めてくれたのかもしれない。


ほかの二人が早々に仕掛けを用意してサビキ釣りを開始する横で、私はシロギス狙いの「チョイ投げ」仕掛けと、アジ狙いの「カゴ釣り」仕掛けの準備に入る。いずれも今回初めて挑むタックルだ。


「チョイ投げ」タックルは、去年ルアーでブリを釣るために入手した一〇フィートのジギングロッドにダイワの3500番、ナイロンの四号ラインに一〇号のミニジェット天秤、そして既製の「キス釣り仕掛け(三本針)」の組み合わせだ。

これまで三号以上の錘を使った経験のない私が、いきなり一〇号の、しかも天秤仕掛けにパワーアップしたってわけだ。もちろんそのことは、これまでに三号錘を使った「チョイ投げ」釣りで私が生み出して来た飛距離にそろそろ不満が生じて来たことに起因する。

PEラインを使えば容易に飛距離がアップするらしい事実は私も承知しているが、以前、それを使ってルアー釣りにチャレンジしたときは一投ごとにラインがからみまくって釣りにならなかった。PEラインを使う場合、糸の質が悪いか、投げるのがヘタクソだと、それはよくあることらしい(たぶん理由は後者だろう、分かっているとも)が、そうと分かった以上、私としては、ではナイロン糸に拘ってどれだけ飛距離を伸ばせるのか、という崇高なテーマにチャレンジしないわけにはいかない。


そしてさらに欲を言えば、力糸みたいな面倒なセッティングも出来ることなら免除してほしい。何と言っても私はまだまだ入門者なんだからな。そういうわけで、まぁ、無難なところで今日のところはナイロン四号に一〇号天秤を直結するスタイルでチャレンジしてみることにする。


もう一方の「カゴ釣り」仕掛けは、新調した四号の遠投磯竿に六号のナイロン糸が巻かれたノーブランドの6000番リールをセットし、ウキとカゴはこれまた初めて入手した、知る人ぞ知る「タナトール」を使用する。「タナトール」をチョイスしたのは、もちろんカゴ釣りなんて未経験のひよっ子(私のことだ)でもそいつを使えば何とかなりそうだったからだ。

その先には、もちろん大アジ狙いで船釣り向けのアジ用サビキ仕掛け(一.八米、三本針)をくくりつける。


ところで「タナトール」はインターネット中を探しまくったものの、どこの店も品切れだらけだった。本当は一二号を入手したかったんだが、私の磯竿の適合範囲(八〜一二号)におさまる中で入手可能なのは八号だけだった。

メーカーのホームページもちっとも更新されてないようだが、つぶれちまったのか?


駐機場に待機する戦闘機よろしく出番を待つ私のタックルたち。





メンバーのひとりがフグを釣ってしまって大騒ぎしているのを尻目に、まずは「チョイ投げ」タックルに「ゴーサイン」が下る。いつもの手順でオーバースローの構えに入り、一〇フィートのジギングロッドを頭上でシャープに振り抜く。

ぱっと見た感じ一投目の飛距離は三〇米前後ってとこだろうか。M4の射程距離を基準に目測しただけなのであまりあてにはならないが、私が初めて海に向けて投じたジェット天秤は、私が想像していたのよりははるか手前の海面にボチャンと落ちた。


リールを巻いて糸フケを取ったらしばらく待機する。シロギス狙いに限らず、砂底にすむ魚を狙う場合は、あまりエサを動かさず、手前にさびく場合もゆっくりやるのが定石らしいじゃないか。

以前、城ケ島でもっとライトなタックルを使って「チョイ投げ」釣りに挑んでみたものの大量のベラしか釣れずにうんざりしてからというもの、私も少しは勉強して世の中に賢い釣り人がまた一人増えたってわけだ。


名人の域になると、錘をずるずる引きずる感触で海底の起伏がつかめるらしいが、私にそんな能力があるわけがない。とにかく竿を右手前に引いて仕掛けを動かしては竿を正面に戻して糸フケをとる、という地味な作業をたっぷり時間をかけて繰り返し、ようやく足元まで戻って来た仕掛けを回収してみたら、驚いたことに一〇センチメートルオーバーのシロギスが一匹かかっていた。えぇ?キス釣りってそんなに簡単なものなのか!?





気分をよくして二投目だ。同じ要領でさびいているうちに早速根がかりしちまったようだ。ラインをじかに手で掴んで引っ張ってるうちに根がかりは外れた。回収してみると仕掛け先端の針を一本だけロストしたものの、ほかの部分は無事だ。

ついでにアオイソメが全部なくなってる。つまり、その一パック五〇〇円という私の高価な虫エサをただ食いしやがった奴らが何者なのかはともかく、私が仕掛けを投げ込んだポイント付近に腹を空かせた魚がいることだけは間違いない。


三投目は空振りしたが、四投目ではっきりと「魚信」を探知。主は一匹めより気持ちばかり大きめのシロギス。





いいねぇ、その調子でどんどん行こうぜ。


それから何投目かのキャストを無事に終えてさびいているところで明らかに魚が針にかかって暴れているのが分かったので、私は思わず満足感に浸ってニヤリとしながら無言で独りうなずいた。

こいつは間違いなくさっきの二匹目よりも良型だろう。ひょっとして噂に聞く「尺ギス」ってやつじゃないか?





世の中そんなに甘くはない。


結局、その後はエサを盗まれるだけで小ベラ一匹針にかかることはなかった。


それにしても四号ラインと一〇号錘の組み合わせは、率直に言って期待外れに終わったというほかはなかった。あくまで目測に過ぎないが一番飛んだキャストでも五〇米すら飛んでなかったように思われたし、糸がリールから吐き出される様子も何だかのろのろと鈍重だ。

まぁ動物に例えると間違ってもイルカではなくて、トドとかカバのイメージだ。分かってもらえるだろうか。


「アオイソメ」を使いきった一六時三〇分に「チョイ投げ」タックルは駐機場に帰投させて遠投サオに切り替える。本当はもう少し早くそうしたかったんだが、一度だけ用足しに向かった便所が私たちの釣り座からあまりにも遠すぎて少し遅くなってしまった。

まぁ、ずっとサビキ釣りに励んでるメンバー二人は小イワシをポツポツ釣り上げてるだけで、今のところ、まだアジが回遊して来た気配はないから、まるで問題はない。


ところで隣で寡黙にへち釣りに挑んでいると思っていた青年がそわそわしながらたも網を手にとったので、何か釣れたのかと思って様子を見ていると、たしかに海面を引き寄せられて来る仕掛けに何かがひっかかっている。

私にはてっきりそいつがヤシの木の枯れ葉か何かに見えたんだが、近づいて来たそいつをよく見ると、何とそいつは巨大なアオリイカだった!


青年は私たちがそこに釣り座を構えたときからへち釣りではなくて「エギング」に興じていたらしい。竿先を海面につけていたのはみち糸に吹き付ける風の影響を軽減するためだったんだろう。

無事にその巨大なイカを回収した青年は、その場に座り込んでたぶん遅めの昼食をとり始めた。ひと仕事終えて遠くを見つめながら満足げにくつろぐその姿はまさに職人そのものだ。

一口サイズのシロギスをたかだか二尾釣り上げただけでちょっと気分を良くしていた私は大いに反省した。


それにしても初めてチャレンジした「カゴ釣り」は本当に仕掛けを使いこなすのが難しい釣りだった。特にハリスの選択は現場での作業効率を大きく左右することを私は学習した。

私は仕掛けを回収してカゴにコマセを詰め込む作業に取り組むたびにハリスがぶらぶら邪魔をすることに悪態をつきながら、少し欲張って三本針にしてしまったハリスを次からは一本針にすることを誓った。ついでに長さも一米前後にすることにしよう。


「タナトール」の機能美を確認できたことは大きな収穫だった。つまり、たぶん「タナトール」のおかげでキャストに伴う糸絡みは一度も起きなかった。

かなり力を抜いてキャストしたつもりだったが、飛距離は二〇〜二五米といったところだったろう。私のような新米が取り組むカゴ釣りは、足元のサビキ釣りと差別化できれば十分だから、それくらい飛べば合格だ。

それに「タナトール」は錘もウキも、それ単体で交換することが可能だ。飛距離をもっと稼ぎたければ、ただ単に適当な市販品を買って来て号数をアップしてやればいいはずだ。


唯一、難点をあげるとしたら、本体と一緒に送られてきた説明書のイラストだろう。どう見たって針金にみち糸を通してるように見えるじゃないか!





実は下の方に針金は梱包用だからすぐに外せと書いてあったのを見落としてしまった私が、現地で何をどうやってもウキが針金にひっかかって深い棚をとれなかった理由を理解したのは、自宅に帰り着いて腹立ちまぎれに改めて説明書を読み返したときのことだった。


結局アジが回遊して来なかったことは快く水に流して釣り座を撤収し、中味はほぼ氷と海水と空気しかない容量三五リットルの「トランク大将」やその他三人分の釣り具を車のトランクに積みこんで夕食に向かったのは「きよ都」。


人気店だけあって一九時三〇分に現地に到着したところ満席。駐車場にとめた車の中で待っているように言われたが、幸い一五分ほどで店内に招かれた。

私は刺身の盛り合わせ(一,一〇〇円)とライスや汁物のセット(三五〇円)をオーダーする。


料亭あがりの熟練職人による芸術まがいの一品。





料理の質もさることながら、この店の接客姿勢はあまりに丁寧過ぎてかえってこちらが恐縮してしまうくらいだった。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。



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