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May 9, 2013


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

今年二回目の山行は、例によってトミーの発案で「立山」だ。昨日から一泊二日の旅程だった。

「行き先」以外の全てを計画するのは私の仕事で、日取りを決めたのは日曜日だ。私のような駆け出しのハイカーでも、気象庁のウェブサイトに掲載される天気図をまめにチェックする癖をつければ、「ハズレ」の日に出かけない事はそう難しいことではない。

連休中は私が許容し難いレベルで賑わっていたようだが、少しだけ日をずらしてやれば、扇沢からバスに乗ったのは私たちのほかに僅か五人ほどだった。日本人の休暇取得率はなかなか上がらないと言われているが、悪くない事だ。




室堂には多少の観光客がうろついていたが、その数は控えめで私が不愉快になるようなレベルではなかった。天候も申し分ない。





夕焼けに映える飛行機雲。




宿泊先は「みくりが池温泉」。

「板前さんが腕を振るう」山小屋とは思えない夕食が供され、女性の宿泊客にとても評判らしい。個人的にはシンプルにカレーライスでかまわないんだが、まぁこれはこれで良しとしよう。





朝は四時三〇分に起床。朝日を浴びる奥大日岳を堪能する。





朝食を終えて準備を終えたらスノーシューを履いていよいよ出発だ。時刻は八時を少し過ぎた頃だった。稜線右端のピークが目指す雄山。

トミーはその後、稜線を真砂岳手前まで(つまり画像の稜線を左方向に)歩いて大走り経由で下山するコースを主張しているが、私はコースタイムを考えると半信半疑だ。





今回、初めて実戦投入した MSR 製の「Denali Evo Ascent」はアメリカの海軍特殊部隊でも採用されているスノーシューだ。それって私のようなスノーシューの良し悪しなんてよく分からないベイビーな雪山ハイカーにとっては、その選定にあたってとりわけ重要な意味を持つ情報だ。

つまり「カッコイイ」。





一の越にたどり着いたのが一〇時少し前。ニ〇人ほどのハイカーが寛いでいた。

後立山連峰の眺めが素晴らしい。





雄山への登り斜面。





ここで私はアイゼンに履き換えヘルメットをかぶる。なぜわざわざヘルメットをかぶるかと言えば、恐らくいまこの場にいるハイカーの中で、私が最も雪山登りの下手くそな滑落予備軍だからだ。

見た目は却っていっちょ前になった。





トミーは経験済みだが、私はアイゼンを自宅のベランダではなく山で実際に装着するのは初めての経験だ。案の定もたついてしまったので、出発できたのは一〇時半過ぎ。


雄山と言えば、室堂までやって来た軽率な観光客がつい軽い気持ちで登ってしまうようなイメージの山だが、傾斜や高度感は「高尾山」とは次元が違う。

左の方に小さく写っているのがホテル立山(室堂ターミナル)の建物だと言えば、私の言わんとする事が多少は伝わるだろうか。

後ろは大日連峰。





実戦初投入の Black Diamond 製「SERAC STRAP」は、四の越に辿り着くまでの登りの急斜面で実に三度も踵が抜けてしまったので、私はその度に腰を下ろせるような岩場までピッケルを頼りに這うように移動して、それを着け直さなければならなかった。

別に Black Diamond 社の設計者が悪いわけではない。ただでさえアイゼンはそれを着けるシューズを選ぶもんだってのに、彼らはまさか自分たちの設計したアイゼンを、冬山用ブーツの出費をケチってニ〇ドル足らずのオーバーブーツ越しに着けて雪と岩に覆われた急斜面を登る新米ハイカーがいるなんて想定すらしていなかっただろう。

四回目にそれを着け直したとき、私はどうやっても踵が抜けないような独創的なストラップ回しを思いついたので、私は二度と舌打ちしながら右足を引きずって(なぜか左は一度も外れなかった)雪の積もった急斜面をピッケル片手に這い回るような目に合う事はなかった。


四の越で少しばかりの休憩。相変わらず息を飲まずにはいられない後立山連峰の絶景。





四の越からはまた急斜面。結局、ようやく山頂にたどり着いたのが一二時ニ〇分。


早速、昼食。小屋で水筒に水を補充し忘れた事に気づいた私は、慌てずに雪を掴んで鍋に放り込み調理を開始する。メニューは「スグオイシースゴクオイシー」あれ。※卵入り





完成。





雪を沸かしてこさえたその素晴らしい昼食は最後の方でジャリジャリした食感を経験しなければならなかったが、まぁ貝汁みたいなもんだと思えば何も問題はない。


昼食も終わって山頂の景色も十分に堪能し、さぁ、行動再開、となった頃には一三時半を過ぎていたのでトミーの希望していたルート計画はもちろんお流れ。

と言っても、仮に私が初めて着けるアイゼンのために、登り斜面であれほど無様に時間を浪費していなかったとしても、私たちがそのルート計画を実践に移す事はなかっただろう。

いつだってより難しいコースへの挑戦を忘れないタフな男トミーは大汝山方面に向かう下りの斜面を一目見た途端「無理です」と言い放った!





来た道を一の越まで下りてアイゼンを外し、いよいよお待ちかねの「尻すべり」の時間だ。映像はトミー提供。





雪質の問題か、私の荷物が重過ぎた(それは出発前に計ったら丁度 20kg あった。そのうちいくらかは腹に入れて減らした)ためかは分からないが、私が五〇〇円で手に入れたチリトリ状のクールな乗り物は、持てるポテンシャルの半分も発揮できなかった。いつかの「漁岳」のように、条件さえ揃えば、その乗り物は映像よりはるかに高速で楽しい雪面滑降を私たちに体験させてくれる。


もっとも「スピードが出ない」ことなんて大した問題ではなかった。何がその理由であったにせよ、そのさき一度だって、私が「amazon」で購入したそのチリトリ状の乗り物が私を乗せて雪面を滑り降りる事はなかった。私が程度のよさげな斜面の手前で、それのうえに尻を下ろしてひょいっと足を上げても、それはぴくりとも動かなかった。ターミナルまでの帰り道の半分以上をそれに乗って颯爽と滑り降りる想定だった私は品のよくない罵り声をあげた。


もちろん、こんな事なら始めからスノーシューを履いておくべきだった、と私が思い至ったのは全ての斜面を限りなく 20kg に近い荷物を背負って「ツボ足」で下りきった後の話だ。何たることだ。楽しいハイキングの最後の最後にボッカの真似ごとをさせられるとは!


扇沢まで戻って「薬師の湯」に立ち寄ってから松本に移動し、最後は信州名物の馬肉料理で〆る。もちろん勘定は、雄山の登りで粗相をはたらきトミーの時間をいくらか無駄に浪費させてしまった私が全額「自発的に」支払った。





※詳細 → プッシー大尉烈伝 [美食編/三河屋]


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。
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