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七月の上旬に開催されたあるパーティーで、私が隣の席に座った女の子に私がたまにハイキングに出かける話をしたら、彼女が行ってみたい、と言った。「山ガール」ブームが到来して久しいと言われているが、ブームはまだまだ過ぎ去ってはいないようだ。なかなか望ましい風向きじゃないか。

私はスニーカーしか持ってないという彼女でもストレスなく楽しむ事の出来そうな山をピックアップしてくれないか、と「隊長」に依頼したが、奥多摩エリアの山々を心から愛している「隊長」は相変わらず私が彼に連れられてもう何度も登ったことのあるような山の名前を挙げたので、自分で探す事にした。
 

せっかく登るなら今まで登った事はないがそれなりに名前の知られた山に登ってみたい。当初、秩父の金峰山なんかどうだろうかと思ったが、例の女の子の自宅からのアクセスが悪いのでやめた。いろいろ調べてみるうちにあの尾瀬の原っぱを見下ろす格好の展望台として名高い至仏山は鳩待峠から山の鼻までたらたら歩いてそこから山頂経由で鳩待峠まで周回しても所要時間は僅か五時間ほどらしい。登山口から山頂までの標高差もせいぜい六、七〇〇米だ。これなら登山経験のない例の女の子でも無理なく充実したハイキングを楽しむ事が出来るだろう。

ところでそのコースの距離や高低差は、私にとってはあまりにも楽ちんと言うか、物足りなさを感じさせるものだった。私はせっかく 遠出るするのなら、と、翌日は一人で日光の男体山に登る事にして、近くの旅館を予約した。
 

今回の山行は親しみやすいコースでもある事から、各方面に参加を募る事にした。参加者は「隊長」とそのフィアンセ、しょこたん、トミー、ヘイポー、ジャンキーといつもお馴染みのメンバーに加えて、私の友人夫妻も初めて参加する事になった。その友人はとても真面目でストイックな人物で、夕食をとらずに毎晩二、三マイルのジョギングをして体力の維持に努めてもいるし彼の自宅にはその上で腹筋を鍛えるための斜めに傾いたベンチすらあった。

そしてつまるところ彼は非常な愛妻家であるうえに家族思いな男で、毛むくじゃらの犬を二匹飼っていて、彼と会話をするとその犬の話ばかりをするので、さしずめここでは「ドギーマン」と呼んでおくことにしよう。

ところで話の発端となった例の女の子は結局その日「のっぴきならない」用事ができたとかで、不参加になった。
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