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TRU-SPEC H2O Proof Gen 2 ECWCS Parka
TRU-SPEC H2O Proof Gen 2 ECWCS Parka      【 Data 】


     Used since 2011.08.13 at Mt.Kumotori

     Price : $ 71.96

     Size : Small/Regular

     Color : Olive Drab

     Link : http://www.atlanco.com/

「TRU-SPEC」はアトランタ州に拠点をおく軍用品メーカー ATLANCO 社(旧 Atlanta Army Navy Company)の軍用衣料ブランドだ。同ブランドの製品は内外の各軍や法執行機関に納品されており、ATLANCO 社は軍用衣料の分野に於けるリーディングカンパニーである、と彼らのホームページには書いてある。

私が駆け出しのハイカーだった頃、私がかつて尊敬していた「隊長(山ガールと懇意になって結婚する、という目標を達成した彼は、それから山に見向きもしなくなった)」に、ハイキングには必ず雨具を持参しなければならない、と厳しく教えられた私は、登山用品を扱っているオンラインショップを二、三件覗いて見たが、それらのサイトに掲載されていた「ゴアテックス」を主流とする撥水透湿素材をベースとした色とりどりのレインウェアは、デザインが私好みでないうえに値段がべらぼうに高くてちっとも買う気にならなかった。

そんな時に、サバイバルゲームに興じるために必要な軍用装備をちょくちょく買い足していた私が、海外のミリタリーショップのサイトで見かけた、防水、防風、透湿性のすべてを実現したというこの「軍用規格」に準ずるイカしたウェアに関心を示さない理由はどこにもなかった。米軍仕様の「全天候型パーカー」なんて、本当にクールでまさしく私にぴったりじゃないか!

何度も使っているうちに分かって来た事だが、このウェアが最もその恩恵を私にもたらしてくれるのはその防寒性能だ。つまり「ECWCS」というワードが Extreme Cold Weather Clothing System (=極寒冷気候衣料システム)を意味している通り、摂氏氷点下一五度の那須岳で風速毎秒二五米の吹雪が吹き付ける中をよたよた歩いていても、レイヤー二枚とシャツ一枚の上にこのウェアを着込んだ私は全く寒さを感じなかった(手足の先や顔は別だ)。

ベースとなるのは「DINTEX」という特殊フィルム素材だ。「ゴアテックスと同等の」撥水性、透湿性があるかのように謳われている例をよく見かけるが、私はゴアテックス製のいかなるウェアも試してみた事がないのでコメントは控えておこう。那須岳の凍えるような吹雪から私を守ってくれたこのウェアを、かつて私が夏山にレインウェアとしての機能を期待して持って行った揚句にやっぱり雨に降られた時も、このウェアは「全天候型ウェア」の名に相応しくしっかり雨を弾いてくれていたように感じた。なぜ「感じた」としか言えないかといえば、そのときの私は暑さのあまり汗だくで、結局上半身は「ずぶ濡れ」になってしまったからだ。

その事はこのウェアの「保温性」が極めて優れている事と、それから「透湿性」は私の発汗量を考慮すると、あまりパフォーマンスが芳しくなかった事を示唆している。腋の下がジッパーになっていて、それを開閉する事で通気性を調整する事も可能だが、いつだって熱い闘志を胸に秘めて目の前の登山道に挑む私の汗をそんな事で止める事は出来なかった。私はそれ以来、夏場にはこのウェアをハンガーに吊るしっぱなしにして、絶対に自宅のクローゼットから持ち出さない事に決めた。

私が入手したのは「Gen 2」、つまり第二世代のデザインで、第一世代のものとはいくらかの違いがある。ポケットの角度の違いはそのひとつだ。カタログを見るかぎり、第一世代の方はたぶん第二世代のそれより使いづらいだろう。最も大きな違いは、第一世代はフードを襟に収納できない事だ。雨の山ではジャングルハットを、雪の山ではバラクラバを着用する私にとって、フードは大して必要とは思えない仕組みだが、雨の日に使われていないフードが空に向けて口を開けていたら、雨がやむ頃にはどうなっているかを想像してみてほしい。私は、ある雨の日のハイキング中に、襟に収納するのが「面倒くさくて」フードを出しっぱなしにしていて、その事を身を以って学習した。

登山用品店に陳列されている専用のウェアと比較した場合、そのコストパフォーマンスまで考慮すると、私はこのウェアに大いに満足している。それらの「高級」ウェアと比較した場合に恐らくデメリットとして挙げられるとすれば、その重さや圧縮袋に詰め込んだ時の「ボリューム」だろう。重さは 2.17lb(≒980g)。私は気にならない。容積はパッキングのセンスでカバーする。そもそもこのウェアは何と言っても見た目が私好みだ。街中で着てたって全く違和感のないスタイリッシュなデザインだ。

私はよくよく検討した結果、「Small/Regular」をチョイスした。このパーカーは、兵士が戦闘服の上に装備を満載した装帯を着けているその上に羽織る事を前提としてデザインされているかもしれない。普段着のワンサイズ下のもので十分だ。尚、「Small/Regular」は、身長が 5.8 フィート(≒177 センチメートル)、胸囲 37 インチ(≒ 94 センチメートル)の私で丁度いい。

実は私はこのウェアを詰め込んだバッグ共々、登山道具一式をぶら下げた装帯ごと山麓に忘れて自宅に帰ってしまった事がある。たぶんどこかの邪悪なハイカーがそいつを見つけ、正直に交番に届け出ずに持って帰ってしまったおかげで私は用具一式を再び買い揃えなければならなかったが、私はこのウェアをかなり気に入っていたので、飽きもしないで全く同じモデルの色違いを再注文した。


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