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Outdoor Research Pro Mod Gloves Military
Outdoor Research Pro Mod Gloves Military      【 Data 】


     Used since 2013.02.16 at Mt.Chausudake(Nasu)

     Price : $ 33.00

     Size : MD

     Color : Black

     Link : discontinued

私とよき相棒のトミーが九月に立山に登ったときに、私たちは稜線上で風雨に晒されてとんでもなく寒い思いをした。そのとき私が着けていたグローブは普段サバイバルゲームで使っている「難燃性繊維」製の上質なグローブだったが、軍事的な状況では素晴らしい仕事をしてくれそうなそのグローブも冷たい雨風の前では何の役にも立たなかった。その素材の防水性にこそ問題があると考えた私は、翌月にトミーと秋風の吹きすさぶ白馬岳に登ったときには、私がゲーム用に入手した数あるグローブの中からナイロン製のワークグローブをチョイスして持参したが、一日目の登りの行程で雨に降られた私は、結局、山小屋に着くなりガタガタ震えながらストーブで両手を暖める羽目になった。

寒冷地用のグローブの必要性を痛感した私が、軍の支給品でそのようなものがないかをインターネットで調べてみると、「Outdoor Research」という私のよく知らない「有名ブランド」から海兵隊にその手のグローブが納品されているらしい。私は例によってインターネット中を捜し回り、一度も使われないまま海兵隊から放出されたという、通常時の入手価格が $150 は下らないらしい「Pro Mod」という何となくプロフェッショナルな響きのする名前のグローブを $ 33 で入手した。

翌年二月に私は冒険家トミーに誘われて、那須の茶臼岳にハイキングにでかけた。天気予報では気温が昼間でも摂氏−15度であるうえに予想される風速は25米/秒とあった。私の真新しい海兵隊の寒冷地仕様グローブの実力を目の当たりにするのに絶好の気象条件じゃないか!

実際、その日のハイキングは全くひどいものだった。ごうごうと吹き付ける雪で5メートル先すら見えないような状況で、持参した軍用ゴーグルを着けようとした私がそいつを着け終わった頃には既にレンズが凍結していて、50センチ先のものすら見えなかった。私たちより早い時間から山頂を目指して歩いていたはずの全てのハイカーがすごすごと引き返すなか、荒くれトミーに言われるがままに私は彼らとすれ違いながら前進を続けなければならなかったが、そんな私たちに道を譲ろうと踏み跡をちょっと外れてくれた爽やかな青年なんかは突然ずぼっと首まで雪に嵌ってしまった。私は悪いとは思いながら笑いを堪えるのに必死だった。

そんな感じの気象条件であっても、私はもう二度ともっとましな手袋を持って来るんだったと後悔する事はなかった。それにこのグローブはフリース地のインナーとナイロン製のアウターシェルの二重構造になっている。つまり手先の細かい動きを必要とする作業に従事する場合はアウターのみ外してやればよい。私がこのグローブを着けるのはその日が初めてだったので、つい昼食を作るときに私はいつものくせでグローブを全て外してしまった。私の手がかじかんで思うように動かなくなるまでたぶん三〇秒もかからなかったろう。言いかえれば、それだけ厳しい気象条件だったにも関わらず、このグローブはそれを着けてる間、私の両手がまるで暖炉に火のついた暖かい部屋の中にいるのと同じくらい快適な状態をキープし続けてくれた、ということだ。

保温性も秀逸だが私が最もありがたいと思うのは330デニールナイロンとゴアテックス地から作られたそのアウターの撥水性だ。私はストックを持たない主義なので、二本足で移動する事にさほど拘らないタイプのハイカーだ。ちょっと急な登りや下りが現れたら躊躇する事なく両手両足をフル稼働させて迅速にクリアする。雪山でそれをやるとグローブはあっという間に雪まみれになって、どれだけ慎重にその雪を払い落しても、払い落とし切れなかった雪が次第に融けてグローブに沁み込んで来るので、そのうち私は両手の感覚がなくなって来る。このグローブに限ってそのような心配は無用だ。

それにこのグローブは見た目の重厚さに反して実に軽い。片手のインナーとアウター合わせて手元の秤でわずか 0.33lb(≒150g)。だ。素材も柔らかいのでアウターを着けたままでも岩場のホールドはしっかり掴めるし、パックの開閉や衣服のジッパーの上げ下げ位なら何の問題もない。カメラの操作となるとアウターのままではちょっと厳しい。インナーとアウターはストラップで連結されているので、アウターを外している最中に風で飛ばされるような事もない。私は冬山でそれをやってしまって、まず手が凍死し、それが原因で命を落としたハイカーの話を知っている。その代わりと言っては何だが、アウターを着脱するときにそのストラップがちょっと邪魔なのでイラつく事はたまにある。


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