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ぷしろぐ >> グルメ・旅行編
【 カ テ ゴ リ 】


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August 7, 2014


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

二日後に天草の釣り船に乗って一メートル級のマダイを釣り上げる予定の私たちは、今日は熊本市内のホテルにチェックインする事になるが、それまでの時間つぶしにあの有名なチンパンジーに会いに行く事にした。


何はともあれ昨日泊まったペンションをチェックアウトした私たちは、オーナー夫婦の貴重なアドバイスに従って「ナフコ」に直行し、カブトムシの飼育セットを購入する。

数日後には飛行機に乗らなければならないので一番小さなセットを選んだが、元々持ち帰る予定だったカブトムシの1ペアと、一時的に収容していた虫かごの裏側にへばりついていたのを見逃してしまい、結果的に私たちについて来てしまった小さなオス、それからおまけでもらって来た小さなクワガタの計四匹を入れるにはかなり手狭だ。東京に戻ったら大きめの飼育ケースをいくつか買い足さなければならない。

生き物の命に責任を持つというのは決して簡単な事ではない。


チンパンジーのいる動物園は、もともとクマだけを集めて開園した、いわゆる「くま牧場」だったが、現在ではアニマルショーを毎日開催したり、小動物との触れ合いコーナーを設けたりして全く別の動物園に生まれ変わってしまったようだ。

もっとも私のお目当ては時代が変わろうとも古き良き「ヒグマ」にほかならない。登山を少々たしなむ私にとっては、絶対に山中では遭遇したくない相手だが、まずは「敵を知る」事が重要だ。


飼育スペースの一番目立つ場所を陣取って「おやつ(三〇〇円)を投げろ」と観光客を威圧するボス熊。





ひゃー、何てデカいんだ!

一般の人々はともかく私はどうしても自然界でやつに出会った時の事を想像してしまう。


次に何かショーを見ていくことにしよう。猿回しより胡散臭い外人が仕切るこっちの方が面白そうだ。





私のチョイスは間違ってなかった。ショーの内容は撮影禁止だったのは残念だ。


そしてガラス越しに見るあのチンパンジー。





はっきり言って、このチンパンジーが一度もテレビなんかに出た事のない、どこの馬の骨とも分からないチンパンジーだったとしても、私にそいつを見抜く事は不可能だ。つまり私にはどのチンパンジーも同じにしか見えない。


市内に移動してホテルにチェックインを済ませた私たちは、早速あの有名処のラーメン屋へ。





私にとっては、何年も前に熊本を訪問したとき、既に閉店時間を過ぎていて入店を果たせなかった因縁深いラーメン屋だ。


私のオーダーはシンプルに「ラーメン(大盛)」。





うーむ、見た目はいかにも私好みの熊本ラーメンだが、口にしてみるとあっさりしていてあまりコクがないな・・・。

五〇年以上の歴史と伝統を誇る店だと聞いていたが、そう言えば厨房にいる店員もみんなアルバイトに見える。消化不良のまま退店。


ホテルの部屋に戻ってからはカブトムシの観察タイムだ。狭い小屋だがそれなりに気に入ってくれたようで何よりだ。





何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




August 6, 2014


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

知人と観光で熊本に向かった私は空港近くのペンションへ。何でもそのペンションのオーナーはカブトムシを捕まえる名人で、そんな彼を目当てに夏休みには多くの子供たちがそのペンションに泊まりに来るという。


名人の車で周囲の山を二時間近く探し回るという、かなり気合の入った昆虫採集ツアーは夕食が済んでから催されるらしい。そして車に乗れる人数には上限があるので、基本的にそのツアーに参加できるのは子供たちだけだ。

私はそれに参加するわけでもないので、はしゃぎ回る見知らぬ子供たちを尻目に食堂でゆっくりオーナーのこさえた本格的なヨーロッパ風の料理に舌鼓を打っていたが、なぜかそんな私を食堂で見かけたオーナーが「あなたもどうです?」と言って来た!


私は生まれてこの方、未だに「野生の」カブトムシを見たことがない。子供のころに母方のお婆さんの住んでる田舎に遊びに行くと、近所に住む見知らぬ善意の少年が私のために捕まえておいてくれたカブトムシをくれた事はあったが、そのカブトムシは既に「野生」とは言えない。

オーナーに尋ねてみると「サンダル履きでもかまわない」というので、私は部屋に戻っていつも持ち歩いてる SUREFIRE だけを手にすると指定された集合場所に向かった。全国各地から集まった子供たちはもちろんお互い今日が初対面なので、オーナーの意向によってみんなの前で自己紹介をさせられたが、私だけはそいつを免除されたのは幸いだった。その代償として、子供たちは私が宿泊客ではなくてスタッフの一人か何かと勘違いしたようだったが、どうでもいい事なのでそのままにしておいた。


オーナーの駆る中古のデリカは子供五人と私を乗せてペンションを出発した。たぶん五分も走らないうちにオーナーはあるポイントに到達したが、そこには先客がいたのでオーナーは次のポイントへと向かった。

オーナーは、なぜ今のところで探さないのかと食い下がる子供たちに、ポイントはいくらでもある、と自信たっぷりに答えた。先客はバナナか何かでこさえた仕掛けを木の幹にぶら下げていたようだったが、オーナーは、そんなまねをしなくてもカブトムシは簡単に捕まるのに、と助手席の私に奴らの愚かさを指摘した。だが私はこの期に及んでもまだその言葉に半信半疑だった。


また五分も走らないうちにオーナーは雑木林に隣接する道で車を止めて、ターゲットがいるはずだ、と言って二人の子供だけをデリカから下ろし、そして私にもついて来るように言った。

オーナーがその木を探せ、と私たちに指示した木の幹を見上げた私は、子供たちに見られている(かもしれない)事も忘れて感動のあまりうめき声を上げた。そこには紛れもなく野生のカブトムシが樹液に群がる巨大な蛾や奇妙な形をしたトンボやムカデのような節足動物たちに混じって食事をしている光景があった!!いままでの人生に於いて、その時ほどカメラを持って来なかった事を後悔した事はなかっただろう。


オーナーは何箇所もターゲットが集まりそうなポイントを知っていて、彼が立ち寄った先には基本的に必ず一匹か二匹のカブトムシがいた。オーナーは順番に何人かの子供たちをデリカから下ろしては、彼らに野生のカブトムシを捕まえるという貴重な経験をする機会を与えた。

ある足元がおぼつかないところに立っている木へは私一人で行くように言われ、オーナーに借りた虫とり網片手にその木へと向かった私は一人で五匹のカブトムシを捕まえてオーナーに届けた。

自然界で育ったカブトムシたちはどれもこれも美しい色艶をしていて、屈強な腕力で人間の手から逃がれようとしたが、どうしたわけか網で捕まえ損ねても飛んで逃げようとせず歩いて逃げようとするので、結局すぐに簡単に捕まるか地面に落ちるかした。オーナーは、代わりはいくらでもいる、と言わんばかりに、地面に落ちたやつは放っておくように子供たちに指示した。

最終的に二時間がかりで四〇匹弱のカブトムシやクワガタムシを捕獲してそのツアーは終わった。


捕まえられた数十匹のカブトムシと数匹のクワガタムシは、クジ引きによって子供たちに公平に分配された。そんな予定はさらさらなかった私もついに誘惑に負けて、1ペアのカブトムシを貰って帰る事にした。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




July 05, 2014


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

川越の女の家に転がり込んでいる友人の招きに預かり、別の友人一人と川越へ。


この(川越の)友人、私の上を行く食通で、店構えと店主の目つきを見ればその店の料理のレベルがわかると普段から豪語している。何を馬鹿な、と侮ってはいけない。かつて彼に誘われて訪問した店の中に不味い店はおろか、私をして「ふむ、まぁまぁだな」と思わせた店すら、ただの一件たりとも存在しない(つまり全て「大当たり」というわけだ)。

私は彼の見つけて来た名店の料理を口に出来る事に無上の喜びを感じ、彼はそんな私の様子を見るのが楽しくて仕方がないらしい。


今日、私たちが呼び出されたのは西日本に本店を構える焼肉屋だ。その偉大なる友人は、美味い店を見つけるだけでなく、その店を仕切る重要な人物とすぐに仲良くなる技術に長けているので、私たちは一人わずか四〇〇〇円ぽっきりで最上級の肉をたぶん一〇品ほどと、さらに酒も飲み放題という、一般の客には到底供される事のない手厚いもてなしを受ける幸運に恵まれた。


手始めに運ばれて来た(たしか)ハラミとロース。





こんな分厚いタン塩を見たのは生まれて初めてだ。





「口の中で溶ける」というよく耳にするフレーズは、このような肉にこそふさわしい。





ところで久しぶりにお目にかかったのがこいつだ。





もちろん「火を通してから」でなければ口にしてはいけない。どれくらい火を通すかは「完全に」客の好みの問題だが、とにかく店側には「火を通してから」食うように法律で決められている、と客にちゃんと伝える義務がある。私の言ってる意味はわかるね?

それで、いやぁ、もうとにかく美味かったの何のって。


この美しく光り輝く宝石のような食材が、二束三文のユッケにあたって五人が死んだせいで、とばっちりを受けて法的に規制されてしまったのは三年ほど前の出来事だ。死んだ五人のうち三人が子供、重篤患者の多くもまた子供だった。

貧乏なのか何なのか知らないが、好き好んで犬のエサのようなものを振舞うチェーン店に入店した分別のあるべき大人たちが痛い目を見るのは、正月に餅を喉に詰まらせる年寄と一緒でただの自己責任だが、子供が被害に合うのは、そもそも生肉を子供に食わせるような無教養な大人がいるからだ。私は、その件で破産したあのうさん臭い焼肉屋もさることながら、よりによってそんな店で出されるそれを子供に食わせた周りの愚かな大人たち(たぶん親だろう)こそ、被害に合った子供たちを殺した張本人だと、今でも信じて疑わない。


そういうわけなので、当局はそういう知性の貧弱な一部の大人たちに罰を与えこそすれ、この社会で長く育まれて来たひとつの素晴らしい食文化を台無しにしてしまうような拙速な規制については、その是非を速やかに再検証するべきだ。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




April 18, 2014


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

友人が場末のバーでガールハントの腕前を披露してくれると言うので後楽園の駅に向かったら、少々到着が遅れると連絡が入った。私は時間つぶしに春日駅の方まで歩いて割とインターネットで評判の「信濃神麺・烈士洵名」なるラーメン屋へ。


特製ラーメン、しめて九五〇円。





鶏に魚に昆布からも出汁をとったとかいうそのスープは、くどさを感じさせない程度に濃厚で味わい深い。信州産の小麦から紡ぎ出されるなるその麺はツルツルした独特な食感のうえにコシがある。(値段はともかく)なかなかいい仕事をしてるじゃないか。

あえて指摘しておけば、一見、視覚的に豪華さを演出する巨大な海苔は、いざ麺をすする段になるとかなり邪魔だ。なぜかラッパ型の丼は、最後にそれを一滴もこぼさずにスープを飲み干すという作業をとんでもなく困難にしてくれてムカつく。


再訪することがあってもわざわざ「特製」を注文する必要はないだろう、などと考えながら、私は店を後にした。その後、私と合流した友人が私を連れていったバーは、ナイター観戦を終えた私の大嫌いな球団のファンどもが大量に押しかけて大混雑していて、私は友人の華麗なるガールハントの腕前を拝見する機会には恵まれなかった。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




January 25, 2014


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

この一週間というもの、浜松町界隈でランチをとっているが、私はこのエリアにこれほど素晴らしい食事処が林立していることを先週までまるで知らなかった!


最も私を唸らせたのは牛の蔵の「上カルビランチ」。一二〇〇円。





茶碗飯は大盛にしてもお替りしても追加料金なしで、それに見合うだけの十分な量の上質なカルビ肉が提供される。ランチに訪問する焼肉屋でこの店を超える焼肉屋を私は一件たりとも知らない!


三和の「特上鉄火丼」。こいつも一二〇〇円。





築地が近いから出来る芸当かもしれないが、鉄火を注文すると店主が冷蔵庫からその日仕入れたばかりのような半身のブロックを取り出して来てカットし始める。凡庸な店の出してくる、どこをどう流通して来たのか想像もつかないような胡散臭いマグロとは質も鮮度も桁違いだ。


おか田の「鮪づけ丼」は一〇〇〇円ぽっきり。





三和の「特上」にはやや劣るが、それでもトロの部位を惜しみなく乗せた素晴らしい丼だ。その分、値段もいくらか安い。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




November 23, 2013


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

「花やしき」に行く前に立ち寄った甘味処のあんみつ。





この一品だけで世界遺産にも相当するだろう。


※詳細 → プッシー大尉烈伝 [美食編/梅むら]


「花やしき」は日本最古の遊園地とされているが、設置されている遊具の数々はなかなかどうして侮れない。初期の遺物とされる「ビックリハウス」なんて、それが何なのか知らずに中に入った私はその素晴らしい発想に感動すら覚えた。

結局、閉園間際まで滞在。





浅草寺を抜けて地下鉄の駅へ。

昼間の人ごみは忌々しいが、ライトアップされる五重塔はなかなか見ごたえがある。





もっともいま建ってるのはレプリカだ。よく出来たプラモデルみたいなもんで建造物として歴史的な価値はない。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




October 20, 2013


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

三年前、私がビジネスで青森に出かける事が決まったとき、私は「松見の滝」という、片道三時間以上を歩かなければ辿り着けない秘境の滝があるのを知り、その滝を見に出かける計画を立てたことがあった。インターネットで情報を収集する限り、そこに辿り着いた本当に数少ない人々は、そのスケールの大きな滝に一様に感動を覚えたようだった。

ところがなぜかその年、東北地方では山林に出かけた地元の人々が熊に襲われるという事故が相次ぎ、私は周囲の人々の反対に遭ってその計画を断念しなければならなかった。


山の中に足を踏み入れるとは言っても滝に至るコースは基本的に作業用の林道だ。当時の私はまだ登山を趣味としていなかったので、一人で三時間も山道を歩くというのはそれだけでとんでもない冒険のように感じられたが、いまの私にとってそんなのはもはや単なるちょっと長めのお散歩って感じだろう。ただ滝に行ってもつまらないので、少々寒いなか私が「滝に打たれている」証拠のビデオを録って来ることにして、多少の新しい情報収集と三年前の計画時の資料を元に作成した地図の用意を済ませた私は、投宿している弘前のホテルから十和田へと車で向かった。


弘前から十和田に向かうには八甲田の山域を走り抜けなければならなかったが、ちょうど紅葉シーズンでもありその界隈には全く迷惑な観光客連中が殺到していて私はイラついた。つまり奴らは平気な顔をして車道を占領して写真を撮っていたり、車から紅葉を眺めたくてノロノロ運転をしたりする。私は様々な方法で奴らを威嚇しながら道を急いだ。


十和田の温泉郷に入り、北側から一〇二号線へと進入するとまもなく右手に「株式会社コバヤシ十和田事業所入口」と書かれた標柱が現れるので、そちらにハンドルを切る。





ゲート前の駐車場には五台ほど車が停まっていた。小雨がパラつくなかそんなに多くの人々がその滝を目指しているというのはちょっと想定外だ。

私が車を降りて着替えなどしていると、ゲートから老夫婦が出て来て私の目を盗むようにこそこそと逃げて行った。何だ?胡散くさいやつらだな。


私が装備を整えてゲート前に立ったのは一〇時五〇分。うーん、八甲田でたむろしていたクソどものせいで予定よりかなり遅いが仕方ない。私の腰周りに色々とぶら下がる登山用装備では左手の「歩行者通用口」を通り抜けられないので、私は右手から柵を乗り越えて進入し、行動を開始する。





しばらくは右手に黄瀬川を見ながら平坦な林道歩き。





途中、雨合羽を着込んだ爺さん一人とすれ違う。もう滝を見に行って帰って来たんだろうか。


三〇分ほど歩くと吊橋。これは渡ってはいけない。

落書きの日付が何を意味するのかとても気になる。





吊橋からニ〇分ほどで三叉路に到着。こいつを右に折れるのが正解だ。インターネットで見かけた真っ直ぐ行ってしまったうっかり者は結構悲惨な目に会っていた。





この辺りで自転車のハンドルに鎌をぶら下げた爺さん一人とすれ違う。ゲート前で会った夫婦のように、私が挨拶をしてもこそこそと逃げるように去っていく。ははーん、あの鎌で山菜か何かをこっそり盗み取って来やがったんだな。


三叉路を折れてすぐ「黄瀬橋」という橋を渡る。





橋を渡ると少し傾斜が出て来る。

林道脇には立派なシダがこれでもかと生い茂っている。まるで(恐竜の住んでいた)白亜紀みたいだ。





スタートしてから一時間、そろそろ傾斜が急になって来てつらい。

この辺りで滝を見た帰りと思われる何人かのカッパ姿とすれ違う。私は暑がりなのでタンクトップだ。


ふと前から駆け足で降りてくる二人組がいたので私は思わず足を止めて道を譲った。六〇歳は超えてそうな夫婦と思しきカップルだ。足取りはしっかりしていて山慣れているようにも見える。トレイルランでもやってるつもりなんだろうか。

ところが二人をやり過ごしてまもなく同じようにカップルが駆け足で降りて来た。こっちはさっきの二人ほど歳は行ってなさそうだが二人ともまるで足の回転が下り坂の重力に追いついてないように見える。無様にこけてしまわないのが不思議なくらいだ。

結局彼らは四人グループで、バスか何かの時間にでも遅れそうになったんであんな下り方をしてたんだろう。私は、特に後ろの二人のどちらかが顔を地面にぶつけて鼻の骨でも折らないように祈った。


噂の「コバヤシゲート」には一二時ニ〇分に到着。





注意書きから察するに、やはり美味しいキノコか山菜の類が密生していて、こっそり盗っていくやつが跡を絶たないらしい。


ゲートから少し行ったところでマウンテンバイクに乗った若い男が向こうからやって来て私は驚愕した。ほぉ、このコースはそういう楽しみ方もあるのか。

だが地面はあまりにぬかるんでいて、彼はバイクを上手くコントロール出来ているとは言いがたかった。


その先に交互に現れるやや狭い道と開けた道を前進して行くと、色とりどりのレインウェアに身を包んだ四人組が向こうからやって来て、先頭を歩いていた私好みの年増女が私の姿を見て「あなた寒くないの?」と言って笑った。私は、自分が暑がりであるという事実を彼女に説明し、そして今から滝に打たれに行くところだ、と言いかけてやめた。さっきから思ってたんだが、滝に打たれるにはさすがの私と言えども今日は少々気温が低すぎるんじゃないだろうか。


松見の滝へは、いま歩いている林道のあるポイントで左に折れなければならない。事前に地図をよく見ていれば分かることだが、仮にそのポイントを見落として通り過ぎてしまった場合、すぐに大きく右に曲がるカーブが現れる事に私は注目していた。ゲートを過ぎてニ〇分ほど経った頃、前方にやや右に曲がるカーブが現れ、私は思わず立ち止まったが、まだ左折ポイントには到達していなかった。私のその判断はコンパスを持参していたからこそ自信を持って下せた判断だった。やはりこの三年近くの間に蓄積した私の登山経験は間違いなく有用だった。


「コバヤシゲート」から三〇分、ようやく左折ポイントに到着。結論から言えば、そこは見落としようがなかった。そこでは三〇人はいそうな団体が思い思いに木陰に隠れて雨を凌ぎながら昼飯を食っていた。私はそこに辿り着くことを夢見ていた三年という月日の間に、その滝が秘境でも何でもなくなってしまった事を理解して失望した。


まぁせっかくここまで来たんだから黙って滝を見に行くとしよう。そこから先は噂通り急な下りを笹を掻き分け掻き分けして下りて行かなければならない。笹の葉っぱが雨に濡れてるせいで、そこを通り抜けたとき私は帽子から靴の中までずぶ濡れだった。





もちろん雨でその急な下り斜面はぬかるんでいて、いくら山で鍛えてると言ってもそれだけ悪条件が揃えば苦戦を強いられる。

偉大なるハイカーである私ですら、そこを下りきるのに三〇分もの時間を費やした。


そしていよいよ滝とのご対面。





それは私が想像していた通りスケールの大きな滝で、私は感慨のあまり呻き声をもらした。ただ私はここに辿り着くまでに幾つもの山々を練り歩き、この世のものとも思えない素晴らしい絶景を見渡す機会に幾度となく恵まれて来た。三年前にそれを目にしていたなら、たぶん私はもっと感動していただろう。だが残念な事に、その滝の眺めは私が思っていたほど私の心を揺さぶるものではなかった。


ところでもう誰もいない河原に降り立つや否や、私は寒さのあまりレインウェアをバックパックから取り出して着込んだ。手首に巻いたベクターの温度計には一一度と表示されていた。滝に打たれるって?どこのどいつがそんなバカな真似をするんだい?

とにかくそこは寒かった。私は滝を眺めながら昼食代わりの大福餅を平らげ、手早く写真撮影を済ませると大急ぎで帰り支度に取りかかった。


例のぬかるんだ坂道を登りきると、三〇人の団体は跡形もなく姿を消していた。さっきは気づかなかったが、左折ポイントには立派な木の案内板がぶら下げられていた。





左折ポイントからニ五分で「コバヤシゲート」に到着。ゲートを越えた私は困惑のあまり呆然とした。行きでは全く気づかなかったが、そこはY字路になっていた。あれ?私はどっちの道から来たんだっけ?





結論から言うと正解は右だ。そこがY字路になってる事実は国土地理院発行の地図にも載ってない。そこでは九州の山々で鍛え上げられた、地面を注意深く睨みつけて正しい踏み跡を探し当てるスキルが役立った。分岐からニ〇ヤードほど先で見つけた例のマウンテンバイクのタイヤ痕が私の判断を決定づけた。


「コバヤシゲート」からニ五分で黄瀬橋に着く。行きは四〇分かかったが帰りは下り道だから速い。


黄瀬橋から駐車場までは四五分。その間は平坦なので所要時間は行きも帰りも大して変わらなかった。駐車場にはもう私の以外にただの一台も車はなかった。

私が相変わらず小雨の降る駐車場に着いてブルブル震えながら着替えを終え、車のシートに座ってほっと一息ついた瞬間に、地面に叩きつけるような雨が降り出した。私はもう少しで滝に打たれるのと同じくらいひどい目にあう処だった。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




October 18, 2013


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

青森にやって来たついでに今日は OFF にして、駅前でレンタカーを借りたら津軽海峡経由のドライブとしゃれ込む事にする。


昼過ぎに現地に到着。早速「津軽海峡亭」というそのままの名前の食堂で腹ごしらえだ。海峡丼、一五〇〇円。





光輝くイクラ。





※詳細 → プッシー大尉烈伝 [美食編/津軽海峡亭]


腹も膨れたところで龍飛岬まで移動する。

駐車場に車を置いて坂道を展望所まで上り詰めると素晴らしい景観が広がる。





だが北海道を望む方角には目障りなレーダー基地がある。

当然ながら一般人は入れない。





人がいないのをいい事に三脚を立てて記念撮影。

もちろんカモメを見つめながら泣いている事が重要だ。





まだシーズンではないので凍えそうにしてるのは一羽もいなかった。


車ですぐの所に例の歌の歌碑がある。





手前の赤いボタンを押すと例の歌が大音量で流される。ただし歌詞に地名が出て来ない一番はすっぱりカットされている。

先客の老夫婦が聞き終わってその場を後にしてから、改めてボタンを押して一人静かに聞き入る。何気に「あー」だけでニ小節稼いだ阿久悠は偉大だと感心する。


すぐ近くに「青函トンネル記念館」というのを発見。まるで予定にはなかったが飛び入りで入場する。





ちょっとした展示物で青函トンネルを開通させた先人たちの苦闘の歴史を勉強し、それからケーブルカーに乗って実際に一四〇メートル地下にある「作業坑」まで下りていく。

「作業坑」とは作業員がそこを通って作業現場に向かうために掘られた坑道だ。たぶんトンネルなんて本番用を一本掘って終わりだと誰もが思っているだろう。実際には一般人が列車に乗って通り抜けるトンネルは三本あるうちの一本に過ぎない。


ケーブルカーの終点からはガイドの女性の誘導に従って徒歩でトンネル内を散策する。

スタート地点はこんな感じ。





散策コースにも所狭しと先人の苦闘を偲ばせる数々の展示物が現れる。





トンネルひとつ掘り終えるのに決して安くない代償が支払われた事実に思わず足を止めてしまう。





そして明日の岩木山ハイキングに備えて弘前の宿泊先へ。

ディナーはインターネットでは評判のいい「しぶたに」でチャーシュー麺。





店は年増の女将が一人で切り盛りしていて、女将は私好みだったがチャーシュー麺はインスタントラーメンとそう変わらなかった。


※詳細 → プッシー大尉烈伝 [美食編/しぶたに]


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




October 17, 2013


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

ビジネスのために青森までやって来た私は、いつものようにそいつをさっさと済ませて三年ぶりに「おさない」でディナー。

全く何度目にしても美しいほたてフライだぜ!





※詳細 → プッシー大尉烈伝 [美食編/お食事処おさない]


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




September 24, 2013


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

延岡から宮崎市内に戻った私は、午後の鹿児島でのビジネスに備えて特急列車に飛び乗る前に「さといも」で早めのランチだ。

特製大盛、七五〇円。





※詳細 → プッシー大尉烈伝 [美食編/らーめん本舗さといも]


特急列車の車窓からぼーっと海の方を眺めていたらピラミダルな山が見えて来たので、明日登るつもりの開聞岳かと思っていたら、突然山腹からもくもくと煙が上り出して私は唖然とした。

なまじ開聞岳を知ってる県外のハイカーは、私と同じ間違いを犯しても全く不思議ではないと思う。つまりどっちの山もスタイル抜群で「美しい」。


ビジネスを終わらせて夕食に向かう頃には夜の一〇時を過ぎていた。豚とろと迷ったが、新しい店も開拓してみようと「小金太」へ。





美味いラーメンだと思うが比べる相手が悪かった。


※詳細 → プッシー大尉烈伝 [美食編/ラーメン小金太]


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




September 22, 2013


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

昼どきに立ち寄った「直ちゃん」は長蛇の列で、そこに並んでまでチキン南蛮にありつきたいとは思わなかった私は、延岡界隈で他に気になる店もないのでドライブがてら一〇号線沿いを大分方面に。


昼食に選んだのは佐伯の美絆(メイチェン)ラーメン。

清潔で小洒落た店内に入るとメガネをかけた若奥様とIKKO似で姉御肌風の女性がカウンター越しに「いらっしゃいませ」と言った。通し営業なので中途半端な昼食の時間でも開いているのは実にありがたかったが、ほかに客は一人もいなかった。

かなり私好みな若奥様の方が注文を取りに来たので私は「チャーシューメン」をオーダーした。給水器に水はセルフサービスである旨の貼り紙がしてあるのは分かっていたが、どれだけ暇そうでも二人がコップに水を注いで私の元に持って来る事はなかった。


あまりに静かな店内に少々居心地の悪い思いをしていたところに運ばれて来た「チャーシューメン」。





かなりクリーミーでマイルドに仕上げた豚骨ラーメンといった感じのそれに、強烈に匂い立つ胡椒が振りかけられている。チャーシューは私が「チャーシューメン」を名乗るからにはクリアしていて欲しい厚みには達していない。

そのスープが美味いか不味いかと聞かれれば間違いなく美味い。ただどことなく安っぽい美味さというか、どちらかと言うとインスタントラーメンに通じるスタイルの「美味さ」だ。美味い事に変わりはないが、「うへー、こいつはマジで美味い!」とベタ褒めしたくなるほどの美味さじゃない。

最終的に私はこの店のラーメンが気に入ったのかそうでないのか自分でもよく分からないまま店を出た。ただひとつ言える事は、若奥様は間違いなく私好みだった。


※詳細 → プッシー大尉烈伝 [美食編/美絆ラーメン]


次に向かったのは、大分市内とは言いながら限りなく辺鄙な海沿いに店を構える「関の瀬」だ。良心的な価格で関アジや関サバを提供する店としてインターネット上では高評価を博しているようだ。


事実、七時過ぎに私が駐車場に車を入れるそばから二台の家族連れを乗せた車が駐車場に滑り込んで来た。私はやつらに先を越されないように大急ぎで受付へ。

店内は満席だったが、カウンターには客が一人もいなかった。なので私はすぐに入店でき、家族連れの皆さんはお帰りに。


店頭にはこの店の主が正直者である事を匂わせる貼り紙。





関サバとはある特定の海域で釣り上げられ、さらに特定の漁港に水揚げされたサバの総称だ。つまり関サバとされるサバと同じ親から生まれて同じように育ち一緒に泳いでいた個体でも、水揚げ場所が違うだけで「関サバ」を名乗る事は許されなくなる。だから「豊後サバ」だからと言って「関サバ」より味覚が劣るとまだ決まったわけじゃない。


そんな理屈で自分を納得させながら、私は「関サバ」の切り身なんて一切れも乗ってない「関サバ御膳」をオーダー。しめてニ五〇〇円。




刺身の皿だけ見ると値段の割りにせこい盛り付けだ。おまけの小皿たちはもっと質素でいいからもう少し値段を勉強できないものだろうか。


口にしてみるとサバの鮮度自体はたしかに悪くないが、何分ひと切れひと切れのボリュームはたかが知れてるので、ちっとも感動がこみ上げて来ない。むしろ小皿の料理の方が、いかにも職人がこさえた一品という感じで私には美味に感じられた。


※詳細 → プッシー大尉烈伝 [美食編/活魚料理処 関の瀬]


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




September 19, 2013


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

昨日に引き続いて宮崎でのビジネスを全て片付けた私は、明日の大崩山ハイキングに備えて延岡へ移動した。

ディナーのために訪問したのは延岡駅の目の前にある「とんちゃん」という名前の大衆居酒屋だ。入り口には一人でも遠慮なく入店してくれ、といった内容の貼り紙がしてあったが、既に大勢の客で賑わっている店内に私が一人で入店すると、その場にいた店員たちが一様に困惑の表情を浮かべたような気がした(気のせいかもしれない)。


カウンター席に通された私がざっとメニューを見て、近くを通りがかった、ちょっと太った目つきの悪い女に注文をとってくれないかと尋ねると、他の客の注文とりに呼ばれているらしく、ちょっと待ってくれ、という。ところがその女は、ひとつの仕事を終わらせるとほかの事は全て忘れてしまう頭の持ち主なのか、それっきり手が空いてもこちらにやって来る気配がまるでない。

かわいい顔の店員だったら私はもう一回声をかけただろうが、全くこいつは何の取り柄もない女だな、と私は心底むかついた。


程なくしてアルバイトらしき青年が注文をとりに来てくれた。私はひとまず「とんちゃん」という店の名前と全く同じ名前のメニューを注文した。それからもちろん生ビールもだ。





率直に言って「とんちゃん」は、かなり牛のクソの臭いがこびり付いたままのホルモン煮だったんだが、まぁ許容範囲だ。


私は続けて「焼串盛合せ」を二人前(一〇本)と、昨晩、宮崎でその美味さに舌鼓を打ったばかりの「地どりのもも焼」を注文した。

串焼きは割りとすぐ到着。





量が多い・・・。


つまりその盛り合わせにされた串焼きの一本一本は、串に刺された状態で大手の産業用食品メーカーの工場から冷凍車に積み込まれて出荷されるようなチープな串焼きではなくて、恐らく生の状態で仕入れられた素材を、この店の仕込み担当の従業員か、或いは流通経路の途中のどこかに携わる関係者が一本一本手差しでこさえ、その状態のままこの店の焼き台の上に乗せられた上級の串焼きだっただろう。流通過程で脂が逃げる事なく客に提供されるので、当然そのボリュームは安物のそれより数割増しになる。


・・・って事はこの串焼きは美味いに違いないって事だ!私は、この後運ばれて来るであろう「もも焼き」まで無事に完食できるだろうか、という不安をそっと心の隅に押しのけて目の前の串焼きにかぶりついた。くそったれ!こいつは確かに美味いじゃないか!


しかし串焼きが半分もなくならないうちに「もも焼き」が到着。





こいつも「丸万」に負けず劣らずのいい出来だ。残念だったのは、とにかく私の胃袋の容量は一般的な人々のそれよりはやや大きいだろうが、そうは言ったって限度があるって事だった。


それでも私は私に出された料理は何があっても残さない。この店でとても美味しい鳥料理を堪能し尽くした私は、最後はもう本当にしばらく鳥料理なんて目にもしたくないと思いながら店を出た。


※詳細 → プッシー大尉烈伝 [美食編/とんちゃん]


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。




September 18, 2013


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

ビジネスのために宮崎にやって来た私はさっさとそいつを片付けて「丸万焼鳥」へ。

本店だと思って入店した店は実は支店だったようだがどっちだっていい。カウンター席に座って早速「もも焼き」をオーダー。





この表面は真っ黒で身は半生の異様な風体の料理こそ宮崎風の焼き鳥の姿に相違ないらしい。右端のまるで焼けてない部分を紙でくるんで手に取り、さらにフォークを巧みに操りながらかぶりつく。

骨の周囲はほとんど生だが、これがまた柔らかく、鳥の脂の風味と胡椒のスパイスも相まって何とも美味だ。





ペロリと完食。





続いて「たたき」を注文。ポン酢とネギと一味が振りかけられていて、こっちは箸で食えばいい状態で供される。





もちろん添えて出される骨にこびりついた生肉にかぶりついても構わない。私がそうしているとなぜか女性の店員に礼を言われた。


〆は茶漬け。





何がいくらだったのかはよく分からないが、あとは生ビールを一杯つけて会計は三三〇〇円だった。私は大いに満足して店を出た。


※詳細 → プッシー大尉烈伝 [美食編/丸万焼鳥 支店]


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。





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