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August 20, 2016 やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。 城ヶ島の黒島堤防でメバルマンと夜釣り。 本当は聖地・大原漁港に出向きたかったんだが、日本列島の東の海上を北上中の台風のおかげで釣りになりそうにない。 気象予報をそれなりに詳しく見る限り、沼津方面や三浦半島エリアには影響なさそうで、まぁ半日釣りであることと移動時間を考慮すると、今回は城ヶ島でいいだろうってわけだ。 いつだったか、夜釣りで黒島堤防の沖側を占拠してカゴ仕掛けを連投していた集団が、アジだかサバだかのいいサイズのやつをポツポツ釣り上げていたことを思い出し、暗くなったら今度はこの私がそいつを再現するために、新調したカゴ釣り仕掛けを持参する。 今回、持参したのは、プロマリン製の三号遠投竿(五.三米)。恐ろしく高い「定価」がつけられていたが、実質七〇パーセント引きの八千円ほどで手に入れた。カーボン含有率九八パーセントを誇るからか、この一本で五号錘から一五号錘までカバーするという優れモノの一本だ。 さらに今回は六号カゴと六号ウキも新調し、四号のナイロンラインを巻いた安物のダイワ3500番で投げることにする。つまり、アジやサバ程度を狙う釣りには、食いの良さまで考慮して、極力ライトな仕掛けで臨んでやろうってわけだ。 車止めからたくさんの荷物を抱えてひぃひぃ言いながら釣り場に到着したのが一七〇〇時。台風が日本列島の周りをうろついてるせいか、釣り人は沖向きのフェンスわきに一人のみだ。声をかけてみると護岸でやっていたがさっぱりなので、移動して来たばかりだと言う。 空は晴れていて、風は大して吹いてなくて、波も比較的穏やかな土曜日のA級釣り場がガラ空き。たぶん情報収集力の差だろう。 メバルマンと二人して隣に入れてもらって、いつものようにメバルマンは付け餌のみでフカセ釣りを開始。私は撒き餌作りだ。一七三〇時頃に準備が終わり、私は例によってお気に入りのキャンピングチェアーに腰かけ、まずは五目狙いのフカセ釣りからスタートする。 実はこの堤防で、沖向きに釣り座を構えてフカセ釣りに挑むのは初めてだ。手前が岩礁帯になっているので、その奥の深みにまで仕掛けを流してやるのがセオリーだと思うんだが、率直に言って少しでも気を抜くと仕掛けが手前(つまり根掛かりゾーン)に戻って来るので、何とも釣りづらい。 この堤防には何度かお邪魔しているが、ここでフカセ釣りに励む釣り人があまりいない理由が分かったような気がする。 メバルマンがしょうもないネンブツダイやサンバソウを釣り上げては海にお帰り頂くいつもの展開のなか、船道方向にカゴ仕掛けを飛ばしていたフェンスわきの釣り人が、やがて三〇センチメートルほどのサバだかアジだかを一尾釣り上げた。よそ見をしていたメバルマンはそいつに気付いてなかったようなので、私はこっそりメバルマンに耳打ちし、彼が持参した投げサビキ仕掛けに変えたらどうかと勧めてやった。 私のフカセ仕掛けには何もかからない。暫く漫然とプレイしていたが、そのうち事前の予測通りに仕掛けが手前の岩に根掛かりしてしまったので、早々にフカセ釣りを諦めて、私もカゴ釣りにスイッチすることにする。 タナを三米ほどに設定したピカピカのカゴ釣り仕掛けをフルキャストしてみると、四〇米ほどは飛んでいったんじゃないだろうか。先行の釣り人の仕掛けとだいたい横並びだからこんなもんでいいだろう。 彼は斜めに投げているので、彼の方が遠投能力に優れているわけだが、別に仕掛けを飛ばす距離を争う競技に参加しているわけではない。 三投目くらいで回収した仕掛けにかかっていたのはネンブツダイ。去年、下田で八号の仕掛けを使ってキタマクラを釣り上げたときもそうだったが、ガイドブックなんかに書いてあるようにウキがズボッと沈むどころか、仕掛けの回収時にも少しの手応えすら感じない。 ちなみに問題のネンブツダイ氏を、いつの間にか私の後ろにうずくまっていた野良猫に与えてやると、礼を言う仕草もないまま骨まで全部食っちまった。 それから何投目かにかかったのは一五センチメートル足らずのイワシ。こいつも何の手応えもなし。 まぁ、それにしても仕掛けを飛ばせばそこに何かしらの魚がいるという事実は、その釣り方で魚が釣れるということすら、この期に及んで未だに半信半疑の私のようなカゴ釣りビギナーにとっては心強い事実だ。 日もどっぷり暮れて先行の釣り人も帰ってしまい、代わりにやって来たヘチ釣り師と三人ぽっきりしかいない真っ暗でもの寂しい堤防から、試しにタナを五米ほどに設定し直した仕掛けを投げてみる。 発光チューブを先端に取り付けた六号ウキは、相変わらず波に揺られて浮いたり沈んだりしている。カゴ釣りにおいては、ウキが立ってからゆっくりとリールを巻いて糸フケをとりつつ、そのままリールを巻き続けて仕掛けを回収してしまうスピーディーな手返しに終始する私が、そのときも同じ手順を踏んでみたところ、心なしかさっきまでより少しだけリールのハンドルが重い。 アジやサバは口切れでバラすことが多いという事実をちゃんと知っている私は、はやる気持ちを抑えてそれでもゆっくりリールを巻き続ける。残り二〇米ほどまで仕掛けを寄せた頃にクククンと魚信らしきものが右腕に伝わって来る。ありゃ?もしかして、やっぱり何か獲物がかかってやしないかい? 足元まで仕掛けを寄せて来てそのまま海面上に抜きあげヘッドランプで照らしてみると、二本針仕掛けの上の針に豆アジが、下の針には結構なサイズのメバルがかかっていた。カゴ釣りでメバル!? サイズは二一センチ。 カゴ釣りの獲物としてはかなり微妙なんだが、まぁ、釣れた経緯はともかく嬉しいお土産には違いない。 ちょうどその頃、投げサビキ仕掛けを早々に仕舞ってフカセ釣りで一発逆転の大物ヒットを狙い続けていた(そう言えば最近ちっともメバルが釣れない)メバルマンは、完全に戦意を喪失していた。私はそんなメバルマンに、あと三〇分粘ったら帰る、と告げた。 要するに残念ながらメバルマンは−私と同様に−この堤防(の沖向きの釣り座)でフカセ釣りに挑むには一〇年早かったってことだろう。 今回の反省点は、メバルがヒットしたタナを、その後も何度か狙ってキャストしていたはずの私の仕掛けがいつの間にかタナぼけしていたことに、私が全く気付いてなかったこと、それから私もメバルマンもこの堤防にフカセ釣りで挑もうとしたことだろう。 メバルマンがフカセ釣りに執着している間は、この堤防に来ることもないだろうな、などと思いながら、私は失意のメバルマン共々、またしても大量の荷物を抱えてひぃひぃ言いながらその場を後にした。 何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。 以上だ。 |
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