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April 18, 2015 やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。 まだ少し寒い気もするが、釣り仲間の一人と夜釣りでメバルが釣れるという噂の木更津港へ。潮見表によれば一七〇〇時に満潮らしいから、遅くとも一六〇〇時には釣り座に入っていたいものだ。つまりたとえどんなに仕掛けの準備にもたついたとしても、潮が下げ始める頃には既に釣り糸を垂れているのが望ましい。 それにしても晴れてくれたのはありがたかったが、今日は本当に風が強かった。通りがかったときに見かけたアクアラインの橋の方に設置された風速計の表示は風速一五米、私の車の前を走っていた小型のパネルバントラックなんて明らかに風のせいで車体が傾いた状態で走っていて、今にも倒れるんじゃないか、と思ったくらいだ。当然、海も荒れてるだろう。それってほかの獲物ならともかく「メバル釣り」を楽しむには最悪のコンディションなんじゃないか? 釣り座に入る前に上州屋でジャリメを入手し、それから木更津港の目の前にある評判の回転寿司屋の駐車場に車を滑り込ませ遅めのランチにしようとしたが、一四三〇時の時点で四五分待ちとあるので、そのプランは即座に却下だ。おあつらえ向きにすぐ隣のガストでは閑古鳥が鳴いていたのでそちらに入店することにする。まったく想定外だったが、ガストのたった四〇〇円ほどで注文できるピザはなかなか美味かった。 一五三〇時には釣り座に入って私たちは手際よく準備を済ませた。私たちが釣り座に選んだのは、便所付の駐車場にほど近い、「中の島大橋」を左手に見るかたちになる岸壁だ。本当はインターネットで情報を収集した結果、その西側の突堤を釣り場にしようと思っていたんだが、そこの入り口には柵が立てられて立ち入り禁止になっていた。釣り人の安全のためにいたしかたなく、ってとこか?私は基本的にその手の警告をよく「見落とす」タイプなんだが、まぁ、海もけっこう荒れてることだし、今日は安全なこっちの方でいいだろう。 周囲には地元の若者と思しき釣り人たちが何組かに混じってちょっと年配の釣り人もいるようだ。私は早速、彼らが既に魚を釣り上げたのかどうかを偵察するためにそのへんをぶらつき、そのついでに礼儀正しく挨拶をする代わりに彼らの仕掛けや釣り方を盗み見て回った。 率直に言って、たぶん誰ひとり今日はまだ魚を釣りあげてないように見えた。まぁ待てよ、釣ってすぐリリースというパターンもあるかもしれない。ふむふむ、釣りのスタイルはどうだ?足元に落とし込んでヘチ釣りか、置き竿にしてぼーっとしてるみたいだ。気のせいかもしれないが、何だかみんなちっとも釣れそうにない雰囲気の釣り人ばかりだな。 今回、私は夜釣り用に電子ウキを初めて入手して現場に持ち込んだ。そもそもウキ釣り自体、一度しか経験したことがないくせに、だ。しかも見た目のカッコイイ棒タイプのやつだ。パッケージに2B相当で「自立ウキ」と書いてある。どれだけひいき目に見ても私がその機能をきちんと理解しているとはまるで言い難いが、とりあえず自宅で電池を入れてみたらちゃんと光ったので、私はそれだけで興奮した。 そして「メバル用」のハリスもちゃんと用意した。ウキ釣りに最適な糸と針だけのセットのやつと、ちょい投げや落とし込みで使えそうな胴付タイプのやつだ。ウキ釣り用の方の糸は「0.6号」と書いてある。目のいいメバルに見切られないためにそんなに細い糸を使うってんだろう?もちろん知っているとも。 久しぶりなのでエギングの竿に胴付仕掛けで簡単なチョイ投げから始めてみる。寒いうえにちっとも釣れない。たまに根掛かりするので色々苦戦しながらそいつを外して仕掛けを回収してみると、ジャリメが半分になっていたりまるごと食い逃げされていたりするので、一応、魚はいるようだ。 潮見表によれば満潮となるはずの一七〇〇時を過ぎてたぶん潮が引き始めた頃に手のひらサイズのアイナメが釣れたのを皮切りに、いずれも小粒のアイナメ、ドロメ、そしてカジカらしき平べったい小物を数尾とチビのカニ(カニだってジャリメは好物なんだろう)を釣り上げたが、お目当てのメバルは全く釣れなかった。そもそも海が荒れて条件が悪いというのもあるんだろうが、本当に煮つけサイズのメバルなんてここにいるのか? そこにいない魚は釣れないのだ、と自分に言い聞かせることで、釣り人は自信やプライドを傷つけられることなく気分よく家に帰ることが出来る。もっとも案の定とでも言おうか、周りの釣り人たちは小魚一匹釣り上げることなく、そそくさと帰って行った(私の相棒はいつの間にか巨大なウミタナゴを釣り上げていた)。 それはそうと、私は日が暮れる少し前に本日私に課せられた宿題とも言うべき電気ウキの仕掛けに変えてみることにした。もちろん大してお目当ての獲物が釣れそうにもないのに自宅に帰ってからの竿の手入れという面倒な作業をわざわざ一本分増やす必要はない。私は持参した磯竿は使わずにエギングロッドのちょい投げ仕掛けを手早く付け替えた。 私の今日の最大の収穫は初めて見るような小魚たちよりも、ウキ釣り仕掛けに変えてから学んだいくつかの教訓の方だった。第一に0.6号の糸は細すぎてサルカンに結び付ける作業ひとつ取っても実に難易度が高い。夜釣りの現場でそれをやるとなれば尚更だ。そうした作業は前日までに予備の分も含めてすべて自宅で済ませておくべきだ。 それにこの釣り場は満潮でも大して水深がないようだったが、そうした場合、面倒がらずにウキ下を短めに調整して十分に底を切っておかなければダメだ。そうでないと針にかかった獲物がすぐにでも例えば底の岩場の隙間にでも逃げ込んでしまえるので、その細すぎる糸は実にあっさりと切れてしまう。 ところで今回、私が生まれて初めて入手したご自慢の棒タイプの「自立式」電気ウキが、私の手元をはなれてちゃぽんと海面に落ちたあと、私が何の手助けをしなくても、ちゃんと自力ですっくと海面に立つことが出来たこともまた大きな収穫だった。たとえそれがどんなに当たり前のことだとしても、だ。 これで次からは、もし自分の棒ウキが何をどうやっても海面でへにゃっと倒れたまんまで、それを見つけた周りの心ないギャラリーに指をさされて大笑いでもされちまったらどうしよう?なんて不安におびえることなく、むしろ手慣れた感じでベテランよろしく堂々と夜釣りにいそしめるってもんだぜ。 ほかにも、ガン玉はひとつだけ打つより離れた場所にふたつ打つ方が食って来るとか、ちぎったジャリメに反応がないときは針にまる一匹かけてみると食って来るとか、ガイドブックにはちゃんとそう書いてあるのに今まで面倒で読んでないふりをして来たようなちょっとしたアドバイスを実践してみて効果のほどを実感してから、日没から一時間も経った頃に、もうそれ以上寒さに耐えられなくなった私たちは逃げるように釣り場を後にした。 何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。 以上だ。 April 4, 2015 やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。 埼玉のとあるフィールドで SIG P226 が不調なせいで(そもそも少々気温が低すぎたようだ)不本意な一日の戦いを終え、釈然としない思いを抱えながら練馬の「まるめん堂」を訪問。 二〇分ほど店外で待たされてからカウンター席しかない店内に招かれる。 注文したのは拉麺・七八〇円。 いやいや、もう、これは出て来た時点で一目見ればハズレじゃないことが分かるだろう。 見るからにホロホロの巨大チャーシュー、絶妙な卵の茹で加減、そしていかにも私好みの脂の浮いた美しいスープ。間違いなく「できる」店主の作品だ。私は同行した男に、この店を見つけた私に感謝することになるぜ、と宣言した。 インターネットで収集した情報によれば、熊本寄りのラーメンだ、というのが定説であるらしかったが、同行した男は熊本ラーメンを未だに経験したことがないので「実に楽しみだ」と言った。結論から言えば、それは「熊本ラーメン」のコンセプトをやや「つまみ食い」してはいるものの、基本的には創作ラーメンだ、というのが私の見解だったが、結局、私に負けず劣らず食の好みにうるさい彼ですら食い終わるまで私の隣で「美味い、美味い」と連呼していた。 まずはひとくち啜る。ニンニクのエキスがそれはそれは絶妙に織り込まれたマイルドな豚骨スープだ。こいつはたまらねぇ!麺は中太のプリプリ麺で美しく輝いていて、その食感も潤い豊かだ。 そしてこのチャーシュー! 作り置きではない、店主が私たちの見ている目の前で(実際には私たちの席からは離れた場所でその作業は為されていたが)ガス台に乗せて焼き始めるホロホロ・ジャンボチャーシュー。食ってるうちに柔らかい食感は本当にたまらないのだが実は風味はさほど秀逸でもないことに気づくとは言え、それでも他のラーメン屋で提供されるそれとは明らかに一線を画している。ついでにスープは最後の方になると妙に魚粉のような風味が鼻につくようになるのだが、それは私の気のせいかもしれないし、そのことだけでこの素晴らしい作品に対するトータルでの評価に大きな影響を与えるほどのものでもない。 そして全く余計なことかもしれないが、物腰柔らかな雰囲気に反してたくましい両腕がセクシーなここのおかみさんは少々私好みだ。 何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。 以上だ。 |
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