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September 15, 2014


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

全盲の少女が混雑する駅の構内で転倒させた(と本人が主張しているらしい)相手に足を蹴られて「心に傷を負った」事件の加害者とされる男は四四歳の知的障害者だった、という結末に私は大いに満足している。それはユートピアニズムに犯された多くの人々が直視しようとしない社会の摂理を端的に説明するもっとも分かりやすいシナリオだった。

他人を転倒させておきながら謝罪もしないのか、と一部の人々を憤激させておきながら、多くの人々には未だ一方的な被害者として扱われている全盲の少女の殊更肩を持つ連中の不見識なセオリーは、そっくりそのまま彼らにブーメランのごとく返って行った。盲人が他人を転倒させるのは仕方がないという理屈が通用するなら、知的障害者が哀れな少女に暴力を振るう事もまた須らく「仕方がない」。

少女に批判的なスタンスを取る意見に対して(おそらくは全盲少女の立場に立って考える、というような意味で)「想像力が足りない」などと一丁前な口を叩く連中の想像力など、所詮は「弱者はただいたわりましょう」などという一見善良なる価値観を思考もなく無批判に受け入れる事の延長線上にある、独善的で片手落ちな、お坊ちゃんお嬢ちゃんレベルの無邪気な「想像力」でしかない。


なるほど、たしかに目が見えない人間が道をのこのこ歩いていて他人にぶつかる確率は、目が見える人間のそれよりもいくらか高いだろう。そしてそのような事実を元に想像力を膨らませる事は決して悪いことではない。その事と、目が見えない事を理由に、自由に他人にぶつかる権利を盲人たちに与えるのが正しい事なのかどうかは全く別の問題だ。

いかにも想像力の豊かなふりをしている偽善者か、そうでなければただ単に頭の悪い連中は、是非その豊かな想像力でさらに想像してみるべきだ。その盲人がぶつかった相手が、とても優しくて周囲の誰からも慕われているが足腰はすっかり弱ってしまったお婆さんだったら?手を滑らせてあの白い杖を突き刺した相手がたまたまそこを通りがかった子供だったら?社会に参加する以上、たとえ盲人と言えども、他人の安全を脅かさないように配慮しながら日々の生活を送ることは最低限の義務だ。


例の事件の被害者とされる少女が、他人を転倒させた事に対して申し訳ない気持ちを持っているのかどうかは、この際たいした問題ではない。この事例を教訓として私たちが考えるべきなのは、視覚障害者であれ、知的障害者であれ、ハンディキャップを背負った人々が「社会参加」という果実を得る代償として、運の悪い一部の善良な市民が彼らによってその安全を脅かされ、場合によっては幸福な生活を破壊される事すら「仕方がない」などと言って受け入れる事が、私たちの社会にとって本当に正しい思考のベクトルなのか、という事だ。残念ながら私には、程度の低い感情論をベースに主張する事しか出来ない連中が軽々しく首を突っ込むべき問題とは思えない。


もちろん私は、私とは違った意見を持つ人々がそうする自由や権利を尊重する。だからそういう人々はどうぞ街に出かけて行って好きなだけ盲人にぶつかられたり杖で突かれたりしてればいい。願わくば、彼らはだからと言って私や私と同じような考えを持つすべての人々に対して、自分たちの価値観を押し付けられるほど大してエラくもなければ賢くもない事をよくよく自覚しておいてくれたらさらにいい。


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。



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