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September 25, 2013


やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。

鹿児島でのビジネスを昨日のうちに終わらせた私は、今日はOFFにして開聞岳に登る事にする。

開聞岳は例の百選にこそリストアップされてはいるものの、標高は一〇〇〇米にも満たないばかりか登山コースは一本しかない。あまりにも簡単に登れてしまいそうな事実に対するせめてもの抵抗として、一般的な二合目からの登山ではなくちゃんと一合目から登る事にしよう。

照國神社近くのホテルから登山口まではだいたい車で一時間といったところだった。まずは多くのハイカーがそこに車を停めるであろう二合目手前の駐車場まで行き、小便をすませてから中学校の脇にある一合目の標柱まで戻る。車は例によって「そこに停めても誰にも怒られなさそうな」ところをセンスよく見つけて停めさせてもらう。


着替えを済ませたら歩いて一合目の標柱まで移動し、いよいよハイキングスタートだ。





時刻は一〇時五〇分。通常ならありえないスタート時間だが、開聞岳に限っては手元のガイドブックによれば二合目からの登りの標準所要時間がニ.五時間、下りは二時間だ。一合目から二合目の往復時間を加算しても私の行動時間が六時間を越える事はないだろう。


クソ暑い車道を五分も歩くと二合目駐車場に向かう車道を右手に見送り登山者用の遊歩道に入る。





遊歩道の途中にもトイレがあったので念のために立ち寄り、最後の一滴まで搾り出してから二合目へ。


一合目をスタートしてから、放尿に要した時間も含めて僅か一五分で二合目に到着。

想定してたのよりあまりにも近い。





二合目からは暫くありきたりな登山道が続く。木々に遮られて基本的に展望はない。

一五分ほど歩くと三合目。





三合目を過ぎたあたりで早速二人組みのハイカーに抜かれる。健脚そうなハーフパンツの男とその連れの男といった感じの二人組だ。年のころは六〇そこそこってとこだろうか。


その先で見かけた、岩の上に置いて行かれた靴底。





二つ同時に剥がれたって事か?楽しい想像は膨らむ。


三合目から一五分で四合目。




この辺りでも次々と後続のハイカーに抜かれる。クラブ活動のトレーニングにでもやって来た風の学生らしき若い男四人組と、ソロのハイカー二人ほどだ。

基本的に私は登山道で前のハイカーを抜き去る事はあっても、私を抜いて行くハイカーというのはあまりお目にかからない。なのにこの山ではさっきから私は抜かれる方専門だ。何だってこの山にやって来る人々はそんなに足が速いんだ?


だいたい一五分単位で一合ごとの案内板が現れるので、そろそろ五合目かな、と思ったあたりで、最初に私を追い抜いて行った二人組に追いつく。どうやらハーフパンツでない方の男の足が早くも音をあげたようだ。たぶんハーフパンツのペースに合わせて無理をしてしまったんだろう。

ハーフパンツの方も少しペースを加減してやるべきだったんだろうが、まぁ最終的には山ではどんな泣き言も通用しない。


予想通り四合目から一五分で五合目の案内板と、それからちょっとした休憩所みたいなスペースが現れた。





そこは展望台のようになっていて、私を抜いて行ったソロハイカーのうちの一人がちょうど休憩している所だった。五〇歳には満たないと思われる見るからに体力の塊のようなそのハイカーは、私がアクエリアスなど飲んでると話しかけて来て、彼が登山口から車で三〇分足らずのところに住んでいる鹿児島県民である事が判明した。

この山には何度も登ってるのか、と聞くので、私は東京に住んでいてビジネスのついでに今回初めてこの山にやって来た事を説明すると、彼は私とは違って登山が趣味なわけではなくて、ただ体力作りのために毎週登りに来てるのだ、と答えた。道理であんなスピードでも涼しげな顔をして登って行けるわけだ。

私は、あなたはそれ以上体力をつけなくてもいいでしょう、と答えた。


彼は最後にこの先のコースについて私に簡単な説明をしてくれてから山頂へと向かった。つまり山頂の展望はあまり彼好みではない事、七合目だか八合目だかの展望スペースは海が見渡せて彼好みである事、そこでは空気が澄んでいれば屋久島まで見える事、などだ。へぇ、そいつは素晴らしい!


五分ほど休憩してから出発。まもなく正午だ。休憩している間に二人組のハーフパンツの方が私を抜いて行った。どうやら相棒を置き去りにして前進する事にしたようだ。

きれい事を言うつもりはないが、あんまり一緒に登りたくないタイプだ。


そこを出て割りとすぐ見かけた、またしても底が剥がれた靴。





なぜこの山にやって来るハイカーは靴の点検という当たり前の事を前の日にやらないのだろう?


五合目から六合目も、六合目から七合目もだいたい一五分だった。

七合目の先で見かけたマダラチョウ。





七合目から五分ほどで親切なハイカー氏が教えてくれた海の見える展望台が現れた。なるほど、たしかに屋久島や種子島が見えると案内図にも書いてある。





残念ながら今日は氏のおっしゃる「空気の澄んだ日」ではないようだ。





山伏がこもったとか言う仙人洞は素通り。

七.一合目から八合目、八合目から九合目もやっぱりだいたい一五分。


九合目を越えると次第に展望が開けて来る。





登りも徐々に厳しくなって来て、木段を登ったり、ちょっとした岩場登りにも挑戦しなければならない。

この辺でハーフパンツ氏に追いついた私は、ハーフパンツ氏がそれらをゆっくりとやり終えるのを後ろで待つ。彼は明らかにバテてしまってるように見える。


一三時一五分、山頂に到着。一合目から登り始めても二時間半かからなかった。


山頂はニ〇人を越える人々で賑わっていた。親切なハイカー氏は、私を驚異的なスピードで追い抜いていった若者四人組と談笑していて、私を見かけるとこちらにやって来た。私は、屋久島が見えなかったのは残念だけど秋から冬にかけて来たらさぞ絶景でしょうね、と言った。

氏は私と少し会話をして四人組の方へと戻って行った。私はひとまず岩場の一画を占領し、荷物を下ろすと同時に汗でびしょ濡れになったシャツを脱いで日にあて乾かす事にした。

半裸で岩に腰かけおにぎりをパクついていると、私がそうしているのを見たからかどうかは知らないが、若者四人のうちの一人もシャツを脱いで半裸になった。いかにもアスリートといった風に無駄な脂肪が一オンスもついてないバッタのような身体をした若者を見て、私も昔はあぁだったのに、と過ぎ去った無情な時間に私は思いを馳せた。


いつもなら適当に記念撮影でもしてさっさと下山するところだが、狭い山頂に人が多すぎて私の気に入るような記念写真が撮れそうになかったので、私は彼ら全員が下山するまで粘る事に決めた。私が最後に山頂に着いたんだから私が最後まで山頂に居座るのは当然の事だ。そうだろ?

そして一人また一人と下山して行き、例の親切なハイカー氏も四人組と一緒に下山の準備を始め、それから四人のうちの一人のスマートフォンを持って私の方にやって来て、写真を撮ってくれないか、と私に頼んだ。

私はハイカー氏が五合目で私にそうしたように山頂でも見知らぬ四人組にフランクに話しかけて仲良くなったもんだとばかり思っていたが、どうやら彼らは元々知り合いらしかった。私は頼まれもしないのにいちいちアングルを変えて四、五枚撮影し、スマートフォンを持ち主の若者に返した。彼らは私に礼を言って山頂を後にした。


私を含めて山頂には三人しかいなくなった頃に、私を追い抜いていったもう一人のハイカーが私が占領していた岩場の方にカメラを片手にやって来た。年季の入った皮製の登山靴に短パン姿で、日に焼けた太い腕がタンクトップから覗く何やらマッチョなハイカーだ。年は私とそう変わらなそうだ。

私が占領していた岩場は周囲より一段高く、そこからは海側がとてもよく見渡せたので、彼はそこで写真が撮りたいんだろう、と私は快く場所を譲った。さぁ、さっさと写真を撮ってすぐにでも山を下りてってくれ。

するとそのマッチョなハイカーは私に何やら話しかけて来たので、私はそれに適当に応じたのだが、話の流れで私がつい先日「大崩山」に登った話をした途端に彼の何かにスイッチが入った。彼は突然わざわざ自分のパックを持って来てスマートフォンを取り出し、私に見せるためにそれに保存された取っておきの写真を探し始めた。


彼の事は「ホワイトベアー」という仮の名前で呼ぶ事にしよう。「ホワイトベアー」は福岡から仕事の休みを利用して車を飛ばしてここまでやって来た、と言い、九州の山はあらかた登ってしまって今日はついに一番遠い「開聞岳」まで駆けつけたのだ、と言った。そしてそんな彼にとって「大崩山」は一番お気に入りの山だった。

私が東京から来ていて、これから鹿児島市内のホテルに戻る事を伝えると、彼も鹿児島市内に寄り道をしてそこで夕食をとるつもりだ、と言う。私たちは知り合って三〇分も経たないのに今日の夕食を一緒にとることで合意した。


一時間以上「ホワイトベアー」と話し込んでいるうちに山頂にはほかに誰もいなくなってしまった。「ホワイトベアー」は着替えがてら二合目の駐車場近辺にあるとか言う登山者用のシャワーを浴びたい、というので先に下山してもらい、私は一人で心ゆくまで記念撮影にしゃれ込む事にする。

「ホワイトベアー」は印象深いセルフ写真を考案するセンスに長けたハイカーで、私は彼が下山する前に私にカメラを渡して私に撮らせた写真の構図とポーズのアイデアをそのまま失敬した。ただひとつ違ったのは、私は山頂に着いてからずっと半裸だった事だった。





半裸でポーズをとってからシャッターのタイミングを確認するためにカメラのランプを振り返ると、今ごろ山頂に着いたどこかの四人組のハイカーが私を見て笑っていた。


一五時に下山開始。

歩き始めてまもなく一人の初老のハイカーが登山道に大の字になって寝そべっているのを発見。山頂を目前に暑さのせいか何かで歩けなくなったらしい。

社交辞令で一声だけかけておいて先を急ぐ。私は実力に見合わない登山に挑んでしまったハイカーに対して徹底的に冷酷だ。その後ヘリコプターが飛んでいたので彼を拾い上げに来たのかもしれない。


時折現れる滑りやすい砂利道に悪態をつきながらも脇目もふらずに登山道を下る。二合目には一時間で着いたが「ホワイトベアー」には追いつけなかった。


その後、私たちは合流し、それぞれの車で、海の向こうに美しい三角錐の開聞岳を望めるという「番所鼻」に向かう。





やはりこの山は秋から冬にかけてが狙い目のようだ。


せっかくなので夕陽を鑑賞してから鹿児島市内へ。





まず「ホワイトベアー」が私を連れて行ったのは「ざぼんラーメン」。





※詳細 → プッシー大尉烈伝 [美食編/ざぼんラーメン 与次郎店]


だが彼が鹿児島市内に立ち寄りたかった本当の理由はこっちだった。





※詳細 → プッシー大尉烈伝 [美食編/天文館むじゃき]


何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。

以上だ。



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