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July 17, 2013 やぁ、諸君。私がプッシー大尉だ。 ビジネスのために那覇に下り立った私は、いつもなら ジャッキー に直行するべきところを、気分を変えて郷土料理の店に入った。 注文取りのおばさんにミミガーやラフテーを注文した私がふとカウンターの奥に目をやると、ボードに「山羊の刺身 ¥一二〇〇」と書いてある。ほぉ、面白そうだ。おばさん、山羊の刺身もひとつだ、とおばさんに告げると、おばさんは私にそいつを食った事があるのか、と聞いて来た。 もちろんないのでそう答えると、そいつは非常に好き嫌いの分かれる食べ物だ、と、そいつが私の口に合わない可能性をやんわりと指摘する。私は好き嫌いのない男である事を丁重に伝えたら、まず半人前だけ持って来ると申し出てくれた。そいつはいい提案だ。万一おばさんの警告がハッタリではなかったりしたら、出された料理は必ず完食する主義である私にとって、そんな危険極まりない料理は少なければ少ないほどありがたい。 運ばれて来た料理は、私の予想とは少し違って、獣の皮に少しばかりの生肉がこびりついた感じの「刺身」だった。酢と生姜とスダチを使うとより一層美味い、と、親切なおばさんは去り際に教えてくれた。 私はその通りにして一切れ目を口に放り込んだ。美味いぞ。しかし醤油をつけた方がさらに美味いだろう。二切れ目からはそうする事にして、一切れだけは、蕎麦にうるさい連中がよくやるように「薫りを楽しむために」何もつけずに口に入れた。普通に美味いじゃないか! 肉の風味よりは皮のこりこりした食感を楽しむ料理のようにも思えたが、いずれにしても私は何の支障もなく「半人前の」山羊の刺身をペロリと平らげた。おばさんがやって来て「本当に全部食べてしまったのねぇ」と呆れたように私に言ったが、私にはおばさんが何をあれほど懸念していたのか最後まで理解出来なかった。つまりそれほど美味かった。 もちろんおばさんは過去にこの素晴らしい料理の何かが気に入らなくて、それを注文した事を後悔する羽目になった哀れな客を何人も目にして来たゆえに、私が同じ目に合わないで済むように気遣ってくれたのだろう。私がおばさんに教えを乞うたところによれば、地元の人々ですら、その料理に対する反応は人によってまるで違ったものになるらしい。私にとってはまるで不思議な事だが、私はその事実をおとなしく受け入れるしかない。 ※詳細 → プッシー大尉烈伝 [美食編/わらじ家] 何か質問は? OK。諸君の健闘を祈る。 以上だ。 |
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