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logo_2star 信州戸隠山御門前 蕎麦処 うずら家
信州戸隠山御門前 蕎麦処 うずら家/天ざるそば(1)

【 Data 】

長野県長野市戸隠3356 [MAP]

TEL:026-254-2219

営業時間:10:30〜16:00 ※売切れ終い

定休日:水曜日 ※祝日の場合は前日

最終訪問:2009.07

「蕎麦と言えば信州」と言っても過言ではない蕎麦の本場、信州の奥地の山里で営業している蕎麦屋だが、その集客力や驚異的としか言いようがなくて、多少は混雑を覚悟して遠路レンタカーを飛ばして駆け付けた私は、現地に着くや否や呆然とした。

そもそも地域の「観光スポット」のひとつとして紹介されてすらいて、おまけにそこそこ名の知れた宗教的な建造物まで近くにあるので、そのへんを大型の観光バスが何台もうろついていて、そこからも客の集団が押し寄せる。私は衆人の群がる店の前を通り過ぎて少しばかり離れた場所にある駐車場に向かったがもちろん満車で、蕎麦の順番待ちですらなく自分の車の置き場所を確保するためだけに、腹を満たした誰かが自分の車をとりにやって来るのを待たなければならなかった。

店は駐車場から歩いて五分ほどの距離にあり、店の前に着いた私は、既に数え切れないほどの名前が記載されている名簿に適当な名前を記入した(いちいち本当の名前を書く必要はない。それより他には絶対いそうにない名前の方が呼ばれたときに分かりやすい。「オータグロ」でも「コバヤカワ」でも「マルドナード」でも、何でもかまわない。もちろん「プッシー」と書くべきではない)。

四〇分ほど待ったところでようやく私の(書いた適当な)名前が呼ばれた。接客を担当するちょっとばかり年配の愛想のいい女性が私を待たせた事を詫びながらテーブル席に案内してくれた。あれだけ混雑してるってのに相席にはされなかったばかりか、私が一人で退屈をするとでも思ったのか、「ザ・蕎麦全集」とでも名付けたくなるような本を一冊持って来てくれた。本当にありがたい心遣いだったが、それはとても蕎麦を待ってる間に読破できるようなページの数ではなかった。私はそのことには特に触れずに、一七〇〇円の「天ざるそば」を注文した。

「ザ・蕎麦全集」をパラパラとめくっていると、私の「天ざるそば」が運ばれて来た。蕎麦やら天ぷらやら薬味やらが全て揃うと、それらはテーブル一面を占領してしまったので、もし相席にでもされた揚句にそいつも「天ざるそば」を注文していたら、私はレベル4クラスのストレスを感じながら食事をする羽目になっただろう。私は店の厚意に感謝をしながら早速その蕎麦に箸をつけた。

見た目にも美しさと瑞々しさを感じさせるその蕎麦は、口にしてみると何と言うか大そう上品な舌触りをしていて、その何とも気持ちの良い喉越しに私は思わずにやりとした。私は蕎麦の製法に詳しいわけではないが、誰かが、最上級の蕎麦ってのはこういうもんだ、とか何とか私に吹きこんだら、なるほど、そういうもんか、と頭から信じて納得しただろう。添えて出された天ぷらにも私は概ね満足した。

もっとも値段は決して安いとは言えないし、おまけにあの混雑ぶりだ。気軽に立ち寄れる店ではない。かなり根性を入れてかからなければならない相手だ。なかには朝の五時や六時には名簿に名前を書いて、店が開くまで神社巡りをして時間を潰す猛者もいるらしいが、神社には大して興味のない私にその手は使えない。
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