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立 野
	【 Data 】 宮崎県延岡市中央通2-3-3 [MAP] TEL： 営業時間：20:30〜03:30 定休日：不定休 最終訪問：2013.09
私がビジネスで宮崎を訪問した際に連休をからめて延岡に五泊したときに一度だけディナーに訪問した店だ。地方都市にありがちな事だが、その界隈でも名店と思しき飲食店は実にマイペースな営業時間を設定していて、私が取り得る選択肢は限られていた。 この店は基本的にナイト営業のラーメン店のようで、インターネット上での評判もまずまずだ。私は付近を何度か徘徊してようやく見つけた、こっそりタダで車を置ける「駐車場」に車を停め、地図代わりに握りしめたタブレット端末と睨めっこをしながら少し離れた場所にあるこの店を目指して歩いた。 繁華街の方へと歩いてそろそろ酔っぱらい共が辺りをうろつき始めた頃に、私はこの店の前に到着した。およそラーメン屋らしからぬ秘密の小料理屋のような見た目をしたその店の前に実はそこがラーメン屋である事を示すのぼりが立っていた。私はそれでももう一度念のためにそこが本当にラーメン屋であるのかどうか店の前で落ち着いて周囲を観察してから入店した。 中に入ると店内もカウンターを基調とした小料理屋のような造りをしていて、カウンター席に座っている既に出来上がった爺さんがカウンターの中にいる女将に話し相手をしてもらっていた。私は入ってすぐの席に着いて六〇〇円のスタンダードな「らーめん」というのを注文した。そもそも選択肢はその「らーめん」か八〇〇円の「ちゃーしゅーめん」しかないようだった。穏やかで愛想のいい感じの女将は早速仕事にとりかかり、その「らーめん」が私の面前に差し出されるまで五分とかからなかった。空腹の極みに達していた私にその「らーめん」は大そう美味そうに見えた。女将にからんでる爺さんじゃないがビールがあればさらに美味そうだ。私は女将にビールを追加で注文した。 そのビールが差し出されて一口飲んだときに、そう言えば途中まで車で来ていた事を思い出した私は、しまった、と思ったが、まぁ飲んじまったもんは仕方がない。ビールと共に賞味するその豚骨ベースのマイルドな味わいをした「らーめん」は全く悪くなかった。悪くなかったが、取り立てて印象に残るものでもなかった。くどさは感じさせずにいながらしっかりと味を主張して来るそのスープをただの「あっさり」スープとして片づけるのは少し違うと思ったが、その味そのものが私にはパンチを感じさせない類のものだった、という事だろう。 立地条件を考えると、酒席の後に立ち寄った客はこういった感じのラーメンを好むのかもしれないから、まぁそれはそれでありなんだろう、と私は思った。そして支払を済ませ、ホテルまで歩いて帰れなくもないが、果たして例の「駐車場」に私の車を一泊させてもよいものなのか思案にくれながら、私は店を後にした。
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