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玉置屋総本店/にしんそば

【 Data 】

北海道網走市南4条東5丁目5番地 [MAP]

TEL:0152-61-2770

営業時間:11:00〜15:00

定休日:木曜・日曜

最終訪問:2013.03

遠くオホーツクの海から沿岸に流れて来た流氷を破壊しながら進水して観光客を喜ばせる事で知られる「おーろら号」の発着場のすぐ正面にある蕎麦屋だ。その辺にたむろしている行儀の悪い中国人観光客の皆さんと同様に、その砕氷船に乗船する事を夢見てはるばるそこまでやって来たってのに、私が予約していた便から天候不良による「欠航」となる事を知らされた私が、「網走監獄」の訪問というプランBを実行するにあたって、移動経路の簡略化のために、私にはこの店の他に選択肢がなかった。

場所柄、行列覚悟で重い扉を開けて店内に入ると、ちょうどカウンター席が一人分だけ空いていたので私はそこに座った。身体の冷えた私はメニューをじろりと見まわし、やって来たアルバイトらしき女の子に「にしんそば」をオーダーした。九〇〇円という強気の価格設定に私は一瞬きょとんとしたが、冷えた身体を温めたい私には「にしんそば」こそふさわしい。

店内は入ってまず奥をあける形でコの字状のカウンターがあり、さらに右奥の通路の先にテーブル席が何卓かあるようだった。私の座った席は入口に一番近い所にあり、誰かがそこをもたもた出入りする度に私は寒い思いをした。私の後から入店して来た根暗な雰囲気を醸し出す青年やあまり知的に見えない若夫婦は一様にスマートフォンで調べ物をしている様子で、彼らはインターネットでこの店の情報を探し当てて旅の途中に立ち寄ったようだった。そして私が見る限り、ランチタイムであったにも関わらず地元の人間と思しき客はゼロだった。

やや待たされてから私の「にしんそば」がやって来た。丼には巨大なにしんの切り身の燻製が窮屈そうな様子で汁につかっていた。ほぅ、なかなか好感が持てる「にしんそば」じゃないか。まずそのにしんを箸でつまんで一口頬張った私は、その薫り豊かな燻製の出来栄えに大いに満足した。続けて口にした蕎麦はやたら歯にからむ私好みでないスタイルの蕎麦だった。量もまずまずのその「にしんそば」は、トータルでは私に一定の満足感を与えてから私の腹の中に消えた。

完食近くになるとアルバイト店員によって蕎麦湯と蕎麦チップが提供された。この店の基本的な接客姿勢は、蕎麦を食ったらとっとと帰れ、というものではなさそうだった。「にしんそば」の値段と立地条件から観光客向けのぞんざいな客商売を警戒していた私だったが、その接客姿勢が一定の基準をクリアしている事を確認した私は、支払を済ませて店を出ると、数時間後には吹雪に襲われるとも知らずに「プランB」の実行のためにタクシーを拾った。
玉置屋総本店/店舗外観


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