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すーまぬめぇ/スペシャルそば

【 Data 】

沖縄県那覇市国場40-1 [MAP]

TEL:098-834-7428

営業時間:11:00〜16:00 ※ 土日祝 〜18:00 いずれも売切仕舞

定休日:月曜日

最終訪問:2013.07

那覇市内とは言いながら車がなければアクセスしようのないような住宅地に紛れこんで営業している沖縄そば屋だ。見た目や造りはさながら古民家に毛が生えたか、見る人によっては古民家そのものにしか見えないかもしれない。

大変美味な「沖縄そば」を提供する事と並んで、駐車場の不便さでも有名な沖縄そば屋でもある。平均的なセダンの1.5台分ほどの幅しかなさそうな坂道に面した駐車場は、駐車場として使うには実に中途半端な広さをしていて、一番手前に車を置いたドライバーの駐車センス次第で、後から入れるドライバーは頭を悩ませる事になるだろう。私がそこに車を停めて店へと歩いて行く時に見かけた、その狭い路地を曲がるだけで車体をこすっていたギャルがその後どれだけ大変な思いをしたかなんて想像すらできない。

隣のおばさんの家の庭から縁側の窓ガラスをガラガラ開けて「ごめんください」と言う感覚でそこに入る事になる店内は、畳敷きの部屋にいかにも民家で使われていた風な木製の座卓がいくつか置かれていて、私は気を使って空いているやつのうち定員が一番少なそうな座卓を選んで占領し、水を持って来た「近所のおばちゃん」風の女性店員に、ソーキと三枚肉に加えて「テビチ」まで盛られた「スペシャルそば」を注文した。

五分も待っただろうか、クランクの苦手なギャルが店内に入って来た頃に私の「スペシャルそば」は運ばれて来た。沖縄そばを象徴するかのような透明性の高いダシ汁の上に頭を出している肉類がいかにも食欲をそそる逸品だ。ダシ汁はほどよいカツオ風味、肉類からにじみ出る油分の香りと合わせて例えようのない香ばしさだ。手始めに箸を付けたソーキ肉はほろほろ、麺も無難に仕上げられていて全く非の打ちどころがない。

私が食事を始めて随分と時間が経ってから、始めにそばを運んできた人物とは別の、笑顔の素敵な四十がらみの「おばちゃん」が私の元にやって来て、「忘れてました」と言いながら薬味と「テビチ」の骨を吐き出すための器を差し出した。まだ「テビチ」には箸をつけてなかった私は、あまり深く考えずに「テビチ」の骨なんて丼本体に吐き出しておけばいい位に考えていたが、そいつはとんだ間違いだった。一度「テビチ」に箸をつけたが最後、客はそれを全て食い終わるまでの間に、スイカ一個に含まれる種の数より多いか、限りなくそれに近い数の骨を、一噛みするごとにペッペと吐き出さなければならないだろう。

薬味として運ばれて来たのは、わらじ屋で出て来た山羊の刺身の皿に乗っていたあの「フーチバー」だった。わらじ屋で、大葉を見たらそうするようにまるまる一枚を口に放り込んで、それこそ苦い思いをした私は、それを手で細かく千切って汁に浸ければさぞ美味しく頂けるであろう事を直感的に理解し、実践し、そしてその結果に満足した。たとえ沖縄県民の誰一人としてそんな食い方はしないのだとしても、私はそれこそが正しい方法だ、と強硬に主張し続けるだろう。

「沖縄そば」は既に何件もの店で賞味したが、この店の「沖縄そば」はその中でも最も私をして美味いと思わせるものだった。普通は初めてそれを食った店で感動し、その後は次第に新鮮さが薄れて行って評価も厳しくなるものだが、この店の「沖縄そば」には、そうはさせないだけの魅力を私に感じさせた。


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