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炉端かば 米子店 | ||||
【 Data 】 鳥取県米子市角盤町2-15 [MAP] TEL:0859-22-7000 営業時間:月〜土 17:00〜04:00(L.O.03:30)日曜 17:00〜01:00(L.O.00:30) 定休日:無 休 最終訪問:2013.08 |
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ビジネスで米子を訪問した私が夕食にチョイスした山陰地方を中心に展開する大衆チェーン居酒屋だ。店は角盤町というガラの悪い歓楽街の一画に構えているが、境港という良質な漁港が近いという地の利を活かして新鮮な魚介料理を安価に提供しているらしい。事前にリサーチする限りインターネット上に於ける評価は軒並み高い。
米子駅近くのホテルから地図を片手に向かったが、初めて角盤町に足を踏み入れる私には少々分かりづらい場所に店はあった。かなりの人気店でタイミングによっては入れない事もあるようだったが、訪問した時間が遅かった事もあってか私はすんなりカウンター席に通された。 メニューを手に取ると、まるまる一ページを費やして「かば大盃盛」なる桶盛りをプッシュしている。見るからに立派なその桶盛りには「ハーフサイズ」が用意されていて、わずか一〇〇〇円だというので、私は横に控える若いアルバイト店員にとりあえずそいつと生ビールを注文し、店員がその場を去ってからもう一度メニューをじっくり検討する事にした。 ほどなくしてビールと付き出しを運んできたそのアルバイト君は、さらに「サービスです」と言ってアラ炊きの乗った器を置いて行った。五五〇円という値段と共にメニューに載ってるその正規の料理をタダでくれるって?何て気前がいい店なんだ!とりあえず私はメニューを閉じて次に何を注文するかを考える作業を中断し、付き出しを肴にビールを飲んだ。 まだ付き出しもなくならないうちに例のアルバイト君がまたぞろやって来て、「お待たせしました」と言いながら巨大な桶盛りを私の目の前にデンと置いたので、私は思わず「これはハーフか!?」と怒鳴り返した。直径三〇センチはありそうな立派な桶に何種類もの魚の分厚い刺身が所狭しと並んでいる。そいつを目にして反射的に発せられた私の言葉には「これで一〇〇〇円!?」という驚きと「こんなに食えるか!」という二つの意味が含まれていたが、アルバイト君は涼しげな顔で「そうです」と一言だけ答えるとすたすたと行ってしまった。 結局、私はその恐ろしいボリュームの「ハーフサイズの」桶盛りと店の善意で提供されたアラ炊きを平らげると、もう何も食う気力がなくなった。しかも桶盛りの刺身はボリュームだけではなく鮮度も一級品だったので私は二度、衝撃を受けた。首都圏の、チェーン店は言うに及ばず、さも少しばかり高級な小料理屋みたいな看板を掲げて営業しているような店が出して来る「お刺身」すら、いかにくだらないB級品であるのか、私は改めて認識させられた。その都心の小料理屋が「サイズだけは」同じような桶盛りをこさえて私に出した時に請求するであろう金額を、このハーフサイズの「かば大盃盛」の対価としてこの店に請求されても、私はまったくおかしいとは思わなかったろう。実際にこの店が私に請求したのはたったの一〇〇〇円だ。全く信じられない! それにしたって同じ業態でありながら従業員の過労死しか話題にならないような都会のチェーン居酒屋は何てざまだ。従業員を消耗品のように使い捨てる一方で、客に対しても猫のエサみたいな魚料理を出して金儲けをしている。そんな企業にいいように使われる若者たちも不幸だが、「かば大盃盛」が私に体現させるような本当の魚の美味しさも知らずにただ出されたものに金を払って美味い美味いと喜んで食ってる人々も似たようなもんじゃないか。 私はそんな事を考えながら、私がこの店から受け取った満足感からするととても考えられない総額たった一七〇〇円の会計を済ませると、膨れた腹をさすりながら楊枝をくわえて店を出た。 |
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