banner_top | Home | Military | Trekking | Gourmet | Life | Contact |
logo_1star らーめんいちばん星
らーめんいちばん星/本荘鶏塩そば

【 Data 】

秋田県由利本荘市鶴沼89-2 [MAP]

TEL:0184-24-1239

営業時間:11:00〜24:00(ラストオーダー23:40)

定休日:無 休

最終訪問:2013.08

翌日の鳥海山でのハイキングに備えて由利本荘のホテルにチェックインした私は、早速インターネットで近隣の素晴らしそうなラーメン屋を一件探し当てたが、いざ向かってみるとその日は夜の営業を休むと窓に貼り紙がしてあった。まぁ田舎町ではよくある事さ。その店の駐車場に遠慮なく車を停めてタブレット端末を取り出した私は再度近隣の飲食店で目ぼしいのがないか探してみたが、由利本荘という、私がそこにあるホテルをたまたま見つけて予約をするまでそんなものが地球上に存在する事すら知らなかった地方都市に、夜の一〇時過ぎまで営業しているような仕事熱心な飲食店はほぼ皆無だった。率直に言って私はかなり「仕方なしに」まだその時間でも営業しているであろうこの店に向かった。

インターネット上での評判が、私が通常時に訪問しようという気になる飲食店のそれを思うと率直に言って「散々な」レベルにあるこの店の駐車場に着くと、一台だけ車が停まっていた。店を覗いてみると一人だけカウンターに先客がいるようだ。私はバックで車を駐車場に停め、明日の朝まで何も食わないよりはましだ、と自分に言い聞かせて扉を開けた。

私に気づいた真面目そうな風貌のご主人は「いらっしゃいませ」と言って私を迎えた。私が適当なテーブル席に着くと、さっきまでカウンター席に座っていた女性が水を持ってやって来た。何だ!?あんた客じゃないのか!?じゃぁ客は私一人ぼっちって事じゃないか!だが店主の夫人と思われるその若い女性は雰囲気がちょっとだけ私好みだった。

私は夫人にこの店がプッシュしていると思われる、五五〇円の「本荘鶏塩そば」というのを注文した。暫くしてから今度はご主人が、心なしかおどおどした感じでその「本荘鶏塩そば」を持って現れた。ラーメン屋を訪問する場合、私は事前の情報収集を元にそれなりに期待が持てる店を選んで訪問するし、そのような店の主は、それが美味いかどうかは別として多くの場合、出来たぜ!さぁ、このオレ様のラーメンを食ってみな!って感じの態度でラーメンを出して来るもんだが、この店のご主人からは謙虚というか何と言うか、まるでそのような自信が感じられない。おまけに店はガラガラだし、こういうのを負のオーラって言うんじゃないのかい?

私は口にしたラーメンスープの成分をその場で分析できるようなラーメンマニアではないが、スープはまぁ何と言うか安っぽい感じの、マニアが嫌がる化学調味料ってやつの存在を匂わせるようなものだったんだが、テーブルにある胡椒なんかを適当に入れてやると途端に私好みの味に化けた。麺に乗せられている油で軽く揚げたような鶏肉の破片みたいのを口に含んでスープを飲むと、その肉片の脂身というか風味がブレンドされてさらにいいし、その肉片の歯ごたえもプリプリしていて面白い。

結局、私は次の日もこの店を訪問する羽目になった。今度は七五〇円の「焙煎とんこつ」ってやつだ。本場の九州でその手のラーメンは食い尽くしている私にはコクもあまり感じられないし少々パンチの弱い一品だったが、地元民の好みに合わせてあっさり風にアレンジしなければならなかった可能性はある。キクラゲとか海苔とか、九州のそれを意識したような具もしっかり乗っていてスープの油もぎとぎとで、まぁまずまず私好みの仕上がりだった。

最終的に私は、誰もやって来ないような時間帯にも灯りをつけて黙々と営業しているという事実に対して、この店は私のニーズを的確に捉えていて実にすばらしいと思った。値段やラーメンそのものについてはいろんな意見があるだろう。だがどんなに素晴らしいラーメン屋であっても、私がをそこを訪れたときに店をやってないなら、そんな店は私にとって何の価値もないのと同じじゃないか!
らーめんいちばん星/焙煎とんこつ


−プッシー大尉烈伝−[美食編]に戻る >>> 
Copyright (C)2011 Lt.Pussy All Rights Reserved.