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マンチズ バーガー シャック/テリヤキバーガー(1)

【 Data 】

東京都港区芝2-26-1 i・smartビル 1F/2F [MAP]

TEL:03-6435-3166

営業時間:[平日] 11:00〜15:00 17:30〜21:00 [土] 11:00〜21:00 [日・祝] 11:00〜16:00

定休日:月曜日 ※ 祝日は営業

最終訪問:2013.06

芝公園近くのハンバーガーショップだ。だいたいハンバーガーと言えば大手系列のファーストフード店が世界中でばら撒いているような死肉を加工してハンバーグのような色と形状に整えていかにも身体に悪そうなソースで味覚もごまかした肉の塊をパンに挟んだだけの典型的なジャンクフードを想起してしまうが、この店のハンバーガーはバンズ(パンの事だ)からパテ(肉の事だ)まで手作りでそれはそれは美味なハンバーガーで、しまいには誰かが「日本一の」ハンバーガーだとまで言い切っているのを私はインターネットで見かけた。

所用を終わらせて平日の限りなく夕方近い時間帯にランチのために訪問すると、ヤンキーみたいな男数人以外に先客はいなかった。私は適当な席に腰かけて、その値段が一,〇八〇円という「テリヤキバーガー」を注文した。私は例のジャンクフード店に入る事があったら必ず「テリヤキバーガー」を二つばかり(とコーラを)注文する。あのジャンクフード店は度々値段を改訂するが、テリヤキはたしか一つ三〇〇円を超える事はなかったろう。つまり私はこの店で、ジャンクフード店のテリヤキバーガー四個分のお値段の「手作り」テリヤキバーガーを堪能する事になる。

いざ、その「日本一」の呼び声高いテリヤキバーガーが私の目前に差し出されたとき、私は満足のあまりうんうんと頷いた。事前に得ていた情報通り、バンズの直径よりも高く積み上げられたそのテリヤキバーガーには香ばしげな見た目のパテのうえにたっぷりと野菜が乗っていて、バンズの表面はさながら高級フレンチで供されるリッチな趣のフランスパンのような上品な焼き上がりだ。ほほぅ、同じ「ハンバーガー」と名前が付いても、手作りともなるとここまで出来栄えが違うものなのか。

その見た事もないようなノッポのテリヤキバーガーを両手で平たく潰してから、何とか私の顎が開く範囲でがぶりつけそうだ、と判断した私は、早速そのテリヤキバーガーを両手で掴んで大ネズミに襲いかかるキングコブラよろしく大口を開けてがぶりついた。その瞬間、私ががぶりついたのと反対側からパテの肉汁がボトボトと音をたてるかのように皿の上にこぼれ落ちた。ジャンクフード店のスカスカ肉ではこうはいかない!

たぶんその肉汁が垂れていたあたりが私の満足感のピークだった。何と言うか、たしかにひとつひとつのパーツへの拘りは感じられたし、ジャンクフード店のそれを食ってる時に感じる「健康」という美徳を裏切ってでもいるかのような罪悪感を少しも感じることなくそれは完食出来たんだが、支払いのときが近付くにつれ、私の頭は冷静になっていった。ハンバーガーに一,〇八〇円?何かそれっておかしくないか?何だかまるで「スうどん」に一,〇〇〇円払えって言われてるみたいだ。職人技がどうとか粉の産地がどうとかいう問題の前に「スうどん」ってそいういう食いもんじゃないだろう。

私は「ジャンクフード」を頭から全て否定したりはしない。ときには食後にがぶがぶコーラも飲めば寝る前にポテトチップスを一袋平らげたりもする。一定の健康を犠牲にしているのかもしれないが、その代償を支払ってあまりあるだけの満足感を、それらを飲み食いしている私は感じている。例のジャンクフード店の「テリヤキバーガー」だって同じだ。どんな材料を使い、どのような工程を経て、そしてその製造や流通に関わる人々がどんな条件で働かされているか、と言ったことも含めて私はたぶん正しい知識を持っている。そのうえで、私はその「テリヤキバーガー」が「四分の一の」値段で提供されている事に一定の意義を感じる。

そのジャンクなテリヤキと比較するときに「値段」まで考慮するならば、私はこのちょっと不潔な女の子のパンティーを想起させる名前のハンバーガーショップのテリヤキバーガーは、必ずしもジャンクバーガーと比べて圧倒的に優位な評価を得られるものだとは思わないだろう。
マンチズ バーガー シャック/テリヤキバーガー(2)


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