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森田食堂/小鰯の煮付け

【 Data 】

広島県呉市中央1-9-3 [MAP]

TEL:0823-23-6340

営業時間:8:00-21:00

定休日:日曜日

最終訪問:2013.10

ビジネスのために広島の八丁堀界隈のホテルを予約した私だったが、もう何度もその辺りに出かけた事がある私は、広島駅からそのエリアまでのアクセスの悪さが不満だった。空港から出る広島駅行きのリムジンバスで、その辺りで途中下車出来るのはないのかと今回初めてインターネットで調べてみたところ、何の事はない、広島バスセンターってのがその界隈にあって、バスセンター行きの直行便もちゃんと空港から出てるじゃないか。

空港に到着した私は早速バス乗り場に移動し「バスセンター行き」のバスが来るホームに並んだ。時間通りにバスは到着し、私は意気揚々とバスに乗った。すると発車間際になって、運転手が乗客たちに、このバスは広島には行かないので乗り間違ってはならない、と警告し始めた。はいはい、駅ではなくてバスセンターに行くんだろ?それこそ私が行きたい場所なんだ、さっさとバスを出してくれ、と私は思ったが、ホームを見渡すと妙にこのバスを敬遠して一本待とうとする客が多い。私と一緒にこのバスに乗り込んだのはせいぜい四、五人といったところだ。バスセンターってのは私に言わせるとかなり便利なロケーションにあると思うんだが、何でみんなこのバスに乗らないんだ?と訝しく思い始めた頃に私を乗せたそのバスは発車した。

発車して五分もしないうちに、実はこのバスは定刻よりかなり遅れてホームに入って来た「呉行き」のバスである事が判明した。道理で誰も乗って来ないはずだ。それにしても紛らわしいタイミングでホームに入って来やがって!それだったら始めから素直に広島駅行きに乗ってた方が一〇〇倍ましだったじゃないか!!そして私は色んな条件が重なって起きてしまった悲劇の事はさっさと忘れてタブレット端末を取り出し、インターネットに接続して呉で一番美味い料理を出して来そうな飲食店を探し始めた。起きてしまった事に腹を立ててる暇があったら、その現実を受け止めて尚、自分にとって最良の選択とは何かを貪欲に追い求める人間をこそ「賢者」と呼ぶにふさわしい。

この店は呉駅のほぼ目の前にあるうえにインターネットでの評判も上々だった。煮付けを中心として懐かしい香りのする小鉢料理を自由に選んでライスと一緒に召し上がれ、というスタイルのようだ。それにこの店で提供される小鰯の煮付けというのは呉地方の郷土料理でもあるらしい。ハプニングで呉を訪問する事になっただけで今後もそこを訪れる機会などまずなさそうな私としては全くもって外しがたい料理じゃないか。

バスは六時過ぎに呉駅に着いた。バスを降りた私は一路この店を目指した。夕食どきであるにも関わらず客は一人もおらず、お婆さんが一人で店番をしていた。私は入ってすぐのテーブル席の一画に荷物を置くと、冷蔵庫に陳列されている小鉢料理の中から迷わず小鰯の煮付けとイカの煮付けをピックアップし、それからお婆さんに大盛ライスを注文した。小鉢がそれぞれ三〇〇円、大盛ライスは二二〇円だ。総額八二〇円で私の生活圏ではお目にかかれないようなノスタルジックなおかずの定食が頂ける。実に素晴らしい。

小鉢料理はいずれもなかなか濃い味つけがしてあり、魚介類の料理が私たちに与えがちなヘルシーなイメージを相殺していた。広島行きの列車の時間を気にしながらそれらの「定食」を腹に流し込んだ私は一,〇二〇円をお婆さんに渡した。何かをサービスしてくれたのか、お婆さんは計算が苦手だったのかは知らないが、私は釣銭を四〇〇円受け取った。
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