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logo_2star 丸万焼鳥 支店
丸万焼鳥 支店/もも焼き(1)

【 Data 】

宮崎県宮崎市橘通西3-8-7 [MAP]

TEL:0985-25-5451

営業時間:17:30〜01:00

定休日:月曜日

最終訪問:2013.09

ビジネスで宮崎の地に降り立った私は、さっさとそいつを片づけてホテルに戻ると荷物を放り出し、「丸万本店」へと向け地図を片手に繁華街を急いだ。そしてだいたい目的地と思われる辺りに着いたときに「丸万」と書かれた看板を見つけた私は迷わずその店に入店した。後から気づいたのだがそこは「支店」の方だった。まぁ何でもいい、早く宮崎名物の半生焼鳥を食わせてくれ。

店に入って空いていたカウンター席に「よっこらしょ」と腰を下ろしかけたその時にはもう愛想のいい太ったウェイトレスが「一本焼きますか?」と私に聞いた。何だ?気が効くじゃないか、あぁ、すぐに一本焼いてくれ。それとビールだ、と私は答えたが、それはたまたま私がもも焼きを食う気満々で入店したからで、後から調べた限りでは、メニューも渡されずにいきなりそんな事を聞かれた観光客は、一般的には戸惑うようだった。

ビールに続いて、隣に座っていた親父の前に置かれていたそれと同じように、ホテルのバイキングコーナーで料理を乗せてずらりと並んでいるのと同じ銀皿に乗せられた私の「もも焼き」が、その愛想のいい太ったウェイトレスによって運ばれて来た。噂には聞いていたが、ススと油で惜しげもなく真っ黒になってしまった姿を包み隠そうともしない、何とも下品な見た目をした「焼鳥」だ。

ウェイトレスは懇切丁寧にその見た目が下品な焼鳥を頂く作法を私に説明してくれた。つまり先っちょの焼けてない部分を紙で掴んでガブりつけって事だ。フォークを上手に使うとさらにいいらしい。私は彼女に教えられた通りにしたつもりだったが、私の目の前で鳥を焼いていた角刈りの男は私のやり方がお気に召さなかったらしく、もう一度はじめから丁寧にその作法を私にレクチャーした。

その見た目が下品な焼鳥は、これまで私が口にして来たあらゆる鳥料理の中で間違いなく「最高に」美味だった!まずスパイシーな胡椒がよく効いていて、あっと言う間に私の口周りはひりひりし出した。そして添えつけられるワサビによってさらに風味は増した。中の方は殆ど生肉で、特に噛みついて引き剥がした骨周りの肉がまた何とも言えず柔らかくて本当にたまらない。とても親切な角刈りの男は、生が苦手なようなら焼き直します、と言ってくれた。まったく悪い冗談だぜ。

骨にこびりついたハイエナですら諦めてしまいそうな僅かな肉片を残してその「もも焼き」を堪能し終えた私は、次に何を注文しようか、と例のウェイトレスにメニューを要求した。すると彼女は、メニューというのは置いてなくて、注文できるのは「もも焼き」か「タタキ」かお茶漬けだけだ、と言ったので、私はこの店が当初、私が目指していた店ではない事に初めて気がついた。まぁそれにしたって「タタキ」ってやつは面白そうじゃないか。私は間違った店に入ってしまった事実はおくびにも出さずに彼女に「タタキ」を注文した。

「タタキ」は軽く炙った「もも焼き」と同じ分量の鳥肉を全て骨から剥がして一口サイズにカットしたものに一味とネギとポン酢がかけられた状態で提供される逸品だった。「もも焼き」よりも生の度合いが増していて、そいつを噛むのはなかなか重労働だった。肉を引き剥がした骨も皿の上に乗っていて、そこにはまだ少量の肉が残っていたので、私は「タタキ」を完食してからそっちにも取りかかった。するとウェイトレスが我が意を得たりとばかりに、その骨から剥がされずに残っている肉こそがいかに美味であるかを熱い口調で私に語りかけたうえで「ありがとうございます」と言った。美味いものには目がない私にとっては自然な行為だったんだが、ただそれだけの事でも喜んでもらえたなら何よりだ。

最後に「お茶漬け」にも挑戦し、この店のメニューを全て制覇した私は総額三,三〇〇円の支払いを済ませて店を出た。私がそこで飲み食いしたのは、私が注文した生ビールが一杯、もも焼き、タタキ、お茶漬けと、店側から自発的に提供されたキュウリのスティックとスープだったが、何がいくらで計算されてその金額になったのかは不明だ。それにしても宮崎の繁華街を歩いていて私が気づいたのは、どうもこの界隈には太った女が多いという事実だったが、あんな美味い鳥料理ばかり食ってたら、そりゃぁブロイラーみたいな体型になっちまってもちっとも不思議じゃない、と私は思った。
丸万焼鳥 支店/もも焼き(2) 丸万焼鳥 支店/タタキ 丸万焼鳥 支店/茶漬け


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