banner_top | Home | Military | Trekking | Gourmet | Life | Contact |
logo_1star 川よし
川よし/特上鰻重

【 Data 】

青森県青森市本町3-2-4 [MAP]

TEL:017-776-3480

営業時間:11:00〜20:00

定休日:月曜・第四日曜

最終訪問:2013.10

青森駅から少々離れた、海の見える大通り沿いに店を構える鰻屋だ。営業時間中に近くを通りがかるとそれはそれは美味そうな蒲焼の匂いが漂っている事だろう。インターネットで事前に得ておいた情報によれば、何でも青森では筆頭格に位置づけされる鰻屋らしい。私は青森でのビジネスを全て終えて東京に帰るその日のランチにこの店を訪問した。

その佇まいに歴史と威厳を感じさせる、観光客がふらっと気軽に入れる風には見えないその店構えとは裏腹に、引き戸を開けるととてもフレンドリーな雰囲気で「いらっしゃいませ」のかけ声が唱和された。入ってすぐ左手にレジ、その奥は広々した調理場になっていて、四、五人の人々が忙しそうに働いている。店の奥の方に狭い通路だけが延びているように見えたが、その通路を少し進んで右手のガラス戸を開けると一〇卓ほどのテーブルが並ぶやや広めのスペースがあった。

ひとまずお茶を持って来てくれたやや年の行ったご婦人に、三,一五〇円の「特上鰻重」をオーダーする。鰻重なんてそれが運ばれて来るまで何十分待たされるか分かったもんじゃない。店に入ってすぐビールを注文する客はアマチュアだ。

私は新幹線の時間の都合で一一時二〇分には入店したが、前評判から私が予想していたのとは違って、その時点では三組しか客がいなかった。私の斜め後ろのテーブルを陣取ったカップルの女が大きな声で相手の男に向かって喋り続けていて、彼女の話の内容は全て筒抜けだったが、そのお喋りに夢中な女は全くどうでもいいような事を延々と喋っていたので、私はそれを聞かないことにした。私の鰻重がまだ運ばれて来ないうちにそのカップルが席を立つと、それまでと打って変わって静寂が訪れた。

二〇分位だったか待ちに待った私の「特上鰻重」がようやく運ばれて来たので、私はビールを注文した。前評判によれば蒸しが入ってべちゃついた鰻が出て来るという事だったが、私に出されたそれはカリカリしていて基本的に私の好みのツボを抑えていた。肝吸いの肝が見た事のないようなボリュームで私はたまげた。総括すると「特上」の名にふさわしい最上級の鰻重を味わってやったぜ!というほどの感動はないが、まぁ悪くはなかったなってところだった。この店がいかに青森県民の間では「筆頭格」に位置づけされる鰻屋だろうと、そんな事は私の知ったこっちゃない。そもそも鰻の数が減ってるようだし、気軽に素晴らしい「最上級の」鰻料理を口に出来る事はもうないのかもしれない。

接客係の人々の仕事ぶりを観察していると、一人だけ黒ブチの眼鏡をかけた気の強そうな婦人の係がいて、彼女はあまり感じがよろしくなかったが、他の人々は概ね感じがよかった。一二時を過ぎる頃には私の周りのテーブル席は全て埋まってしまった。店を出るときに初めて気づいたのだが、レジ前に、その日、客に供されるうなぎは鹿児島か静岡産だと貼り紙がしてあった。青森くんだりまでやって来て列島の全く反対側の鹿児島産の鰻を食ったんだとしたら全く間抜けな話だ、と私は思った。

川よし/肝吸いの肝


−プッシー大尉烈伝−[美食編]に戻る >>> 
Copyright (C)2011 Lt.Pussy All Rights Reserved.