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和牛厨 ふか尾/すき焼き「月」(1)

【 Data 】

長野県安曇野市三郷温6110-1 [MAP]

TEL:0263-77-3005

営業時間:11:30〜14:00(L.O)/17:00〜21:30(L.O)

定休日:不定休

最終訪問:2012.09

私と友人が立山のハイキングを楽しんでから温泉に立ち寄り、その後、夕食のために訪問した店だ。和牛の提供を喧伝する店は世上に溢れているが、焼肉ではなくて「すき焼き」を提供しているところに私は強く魅かれた。山の上ではろくな食事がとれないうえに山歩きで疲れ切った身体に上質な和牛の「すき焼き」なんて最高じゃないか!事前にインターネットでこの店のリサーチを済ませておいた私が「かなりよさそうなすき焼きの店を見つけたんだ」と友人に告げると、友人も「すき焼き」という私のシブいチョイスに満足そうな笑みを浮かべた。だが友人は店に到着して席に着きメニューを開くなりステーキを注文した。

この店の「すき焼き」にはランクに応じて雪、月、花と三種類の選択肢が用意されていた。「雪」が四八〇〇円、「月」が三八〇〇円、「花」が二八〇〇円、その下に「豚(一八〇〇円)」というのもあったが、もう少しましな名前は付けられなかったのか、と思いながら、私は注文を取りに来た、あまり垢ぬけてはいないが誠実そうなお嬢さんに「ねぇ、君が客だったら雪と月どっちにする?」と聞いてみた。彼女はそれが店の売り上げにどのような影響を与えるかなんてお構いなしに「月にします!」と答えた。私は素直に「月」を注文した。

友人の元に届けられた美味そうなステーキを友人が満足そうに頬張っている様子をぼんやり眺めていると、野菜や豆腐を満載した鍋がテーブルに運ばれて来た。そして別皿で一種の芸術のような刺しの入った私の肉が登場した。その贈答品にこそふさわしいような美しい肉の一切れ一切れは、素晴らしい職人技によって極限まで薄切りにされて私の元にやって来たが、私が注文した料理が「焼肉」ではない以上、その事について不満を覚えるのは適切な態度ではなかった。それにしても私は当初、最上級の「すき焼き」を頂くには随分リーズナブルな価格設定だな、と感じていたが、その考えを改め、その値段であってもこの肉の薄さなら、少なくない儲けになるだろうな、と思った。

調理は途中まで目の前で和服姿の女将によって為される。肉を投入して適度に加熱されたと見るや最も適切なタイミングでそいつを素早くつまみ上げるまでのプロセスは全て客の責任だ。そのような場でこそ私の腕前が如何なく発揮される。私は肉をひとくち口にする度に感嘆のうめき声をあげながら、三八〇〇円の「月」すき焼きをあっという間に完食した。この店は飛騨牛の中でも「最飛び牛」を一頭買いしている事実を売りにしているようだが、そのへんの売り文句にもし少しばかり「ずる」を働いていたとしても、この肉質なら私は何も言わない。

それからこの店は接客面に於ける品質が非常に高い。入店して着席するなり茶菓子とお抹茶が出て来て私と友人は思わず顔を見合わせた。配膳係のご婦人方は皆ジャパニーズキモノを身に纏い実に艶やかだ。私たちが訪問した夜の八時の段階で半分強の席が埋まっていた。閉店時間を考慮すると、夕食どきの盛況は想像に難くない。
和牛厨 ふか尾/すき焼き「月」(2) 和牛厨 ふか尾/すき焼き「月」(3)


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